大王製紙株式会社(以下、大王製紙)は、家庭用品「エリエール」ブランドで広く知られる大手製紙メーカーです。新聞用紙、印刷用紙から段ボール原紙まで、11,000種類以上の紙を製造し、国内製紙業界では第4位の地位を築いています。転職を検討されている方にとって、平均年収や福利厚生の情報は重要な判断材料となるでしょう。本記事では、大王製紙の平均年収の推移、役職別・年齢別の年収データ、福利厚生制度、転職難易度について詳しく解説いたします。有価証券報告書に基づく正確なデータをもとに、大王製紙への転職を検討されている方に役立つ情報をお届けします。
大王製紙の会社概要
大王製紙は1943年に愛媛県で設立された総合製紙メーカーで、国内製紙業界では第4位のシェアを誇る大手企業です。特に家庭用品では「エリエール」ブランドを展開し、ティッシュペーパーや紙おむつなどの分野で国内シェア1位を獲得しています。世界最大級の規模を誇る三島工場を中心に、パルプから紙・板紙製品まで一貫した生産体制を構築し、11,000種類以上の多様な紙製品を製造しています。海外では8か国9拠点でグローバル展開を進めており、特に東南アジア市場での事業拡大に注力しています。
大王製紙の基本情報
項目 | 詳細 |
---|---|
会社名 | 大王製紙株式会社 |
本社所在地 | 愛媛県四国中央市三島紙屋町2番60号・東京都千代田区富士見2丁目10番2号 |
設立年 | 1943年(昭和18年)5月5日 |
業種 | パルプ・紙・紙加工品製造業 |
事業内容 | 紙・板紙・パルプ製造販売、家庭用品製造販売 |
上場市場 | 東京証券取引所プライム市場 |
大王製紙の事業は大きく「紙・板紙事業」と「ホーム&パーソナルケア事業」に分かれています。紙・板紙事業では、新聞用紙、印刷・出版用紙、包装用紙、段ボール原紙など多様な用紙を製造しており、特に新聞用紙では高い技術力で業界をリードしています。ホーム&パーソナルケア事業では、「エリエール」ブランドでティッシュペーパー、トイレットペーパー、紙おむつ、生理用品などを展開し、消費者に身近な製品を通じて高い市場シェアを維持しています。さらに機能性フィルムや粘着シート、プラント設計まで手がける総合的な企業として事業を展開しています。
大王製紙の平均年収はどのぐらい?
年度別の平均年収推移
大王製紙の平均年収は、2025年3月期の有価証券報告書によると623万円となっています。過去の推移を見ると、620万円から632万円程度の範囲で推移しており、比較的安定した水準を維持しています。従業員の平均年齢は44歳、平均勤続年数は19.6年と長期雇用が特徴的です。
年度 | 平均年収 | 平均年齢 | 従業員数 |
---|---|---|---|
2025年3月期 | 623万円 | 44.0歳 | 2,288名 |
2024年3月期 | 610万円 | 43.3歳 | 2,445名 |
2023年3月期 | 630万円 | 42.6歳 | 2,574名 |
2022年3月期 | 632万円 | 42.3歳 | 2,627名 |
2021年3月期 | 620万円 | 42.0歳 | 2,651名 |
2020年3月期 | 618万円 | 41.8歳 | 2,677名 |
出典:大王製紙株式会社 有価証券報告書(2025年3月期)
他企業との比較データ
パルプ・紙業界における大王製紙の平均年収水準を同業他社と比較すると、業界内では中位程度の位置にあります。業界最大手の王子ホールディングスや日本製紙と比較すると若干低い水準ですが、全国平均(460万円)や業界平均(569万円)を大きく上回っています。
企業名 | 平均年収 | 業界内順位 |
---|---|---|
王子ホールディングス | 838万円 | 1位 |
日本製紙 | 665万円 | 5位 |
大王製紙 | 623万円 | 9位 |
レンゴー | 717万円 | 3位 |
業界平均 | 569万円 | – |
東証プライム上場企業の平均年収742万円と比較すると約119万円低い水準ですが、素材・化学業界内(平均710万円)では標準的な水準となっています。地方に主要拠点を持つ企業としては競争力のある年収水準を維持していると評価できるでしょう。
大王製紙の役職別年収データ
大王製紙の役職別年収については、公式データとしては非開示となっていますが、転職サイトや口コミ情報をもとにした推定データが公開されています。同社は年功序列制度を基本としており、役職に応じて年収が段階的に上昇する仕組みが採用されています。
役職 | 推定年収(万円) |
---|---|
係長・主任クラス | 750万円~850万円 |
課長クラス | 950万円~1,100万円 |
部長クラス | 1,200万円~1,400万円 |
管理職に昇進すると基本給に加えて管理職手当が支給され、年収が大幅に上昇する傾向があります。ただし、管理職になると残業代が支給されなくなるため、実質的な時給ベースでは一般職時代と大きく変わらない場合もあります。昇進には一定の年数と評価が必要で、同期入社でも個人の成績により昇進時期に差が生じることがあります。
大王製紙の年齢別年収推移
大王製紙の年齢別年収推移については、公式データとしては非開示となっていますが、有価証券報告書と賃金構造基本統計調査をもとにした推定データが各種転職サイトで公開されています。同社の特徴として、年功序列制度により年齢とともに安定的に年収が上昇する傾向があります。
年代 | 推定年収範囲(万円) |
---|---|
20代 | 370万円~500万円 |
30代 | 500万円~650万円 |
40代 | 600万円~800万円 |
50代以上 | 700万円~900万円 |
新卒入社1年目の年収は400万円弱からスタートし、年に1回の昇給により着実に年収が上昇していきます。30代前半で500万円台、40代で600万円台後半、50代で700万円を超える水準に到達するのが一般的なパターンです。ただし、これらの数値は推定値であり、個人の評価や担当職務により実際の年収は変動する可能性があります。また、住宅手当などの福利厚生を含めると実質的な収入はさらに高くなります。
大王製紙の福利厚生
大王製紙の福利厚生制度は、特に住宅関連の支援が手厚いことで知られています。借り上げ社宅制度では自己負担月額1万円程度で住居を確保でき、転勤の際の住宅手当も充実しています。その他にも健康管理、研修制度、レクリエーション施設など、従業員の働きやすさを支える制度が整備されています。
制度・手当 | 内容 |
---|---|
住宅手当 | 借り上げ社宅制度(自己負担1万円程度) |
交通費 | 実費全額支給 |
退職金制度 | 有(確定拠出年金制度併用) |
有給取得率 | 70%以上(夏季休暇取得義務付け) |
健康管理 | 健康保険組合・人間ドック・保健師常駐 |
研修制度 | MBA国内留学・語学教育・技術者育成 |
レクリエーション | スポーツクラブ格安利用・保養所 |
育児支援 | 育児休暇・出産休暇・時短勤務制度 |
住宅関連では、独身者向けの独身寮(月額2,500円程度)や借り上げ社宅制度が特に評価されており、東京都内でも月額1万円程度の自己負担で住居を確保できます。健康管理面では、大王製紙健康保険組合が設置され、三島工場には専用の健康管理施設があり、その他の事業所にも保健師が常駐する健康管理室が設置されています。また、フレックスタイム制度(コアタイム10:00~15:00)の導入により、ワークライフバランスの向上にも配慮されています。女性の働きやすさの観点では、育児休暇制度や時短勤務制度が整備されており、出産後の復職率も高い水準を維持しています。
大王製紙の転職難易度は?
大王製紙への転職難易度は、製紙業界大手企業としての知名度とワークライフバランスの良さから、やや高めの水準にあります。特に「エリエール」ブランドの知名度の高さと安定した経営基盤により、多くの転職希望者が応募するため競争が激しくなっています。中途採用では実務能力と企業風土への適応力の両方が重視される傾向があります。
求められる人材像
大王製紙では「自ら考え、自らの見解を主張できる人材」を求めており、特にIT化、少子高齢化、グローバル化という3つの時代変化に対応できる人材を重視しています。同社の社風は伝統的でトップダウン傾向が強いため、組織の方針に従いながらも自分の考えを持って行動できる人材が評価されます。技術系職種では専門的な知識と経験、営業系職種では顧客との関係構築能力と提案力が求められます。また、海外展開を進めているため、グローバルな視点を持った人材も歓迎される傾向があります。
転職成功のポイント
大王製紙への転職を成功させるためには、まず同社の経営理念「世界中の人々へ やさしい未来をつむぐ」への共感を示すことが重要です。選考では志望動機と転職理由について深く質問される傾向があるため、なぜ大王製紙でなければならないのかを具体的に説明できる準備が必要です。中途採用では実務能力が重視されるため、これまでの経験をどのように活かせるかを具体的な事例とともにアピールしましょう。面接では人柄も重視されるため、同社の古風でトップダウン傾向の強い企業風土に適応できることを示すことも大切です。選考プロセスは書類選考後、2~3回の面接が一般的で、選考期間は1週間から1ヶ月程度です。転職エージェントを活用することで、非公開求人へのアクセスや面接対策のサポートを受けることができ、転職成功の確率を高めることができるでしょう。
まとめ
大王製紙の平均年収は623万円で、全国平均や業界平均を上回る水準にあります。年功序列制度により安定的な昇給が期待でき、特に住宅関連の福利厚生が手厚いため実質的な収入はさらに高くなります。役職に就くことで年収は大幅に上昇し、部長クラスでは1,200万円を超える水準も期待できます。転職を検討される方は、同社の企業風土への適応力と実務能力の両方をアピールできるよう準備を進めることが重要です。製紙業界での安定したキャリアを築きたい方、特に「エリエール」ブランドに代表される消費者向け製品に関わりたい方にとって、大王製紙は魅力的な転職先となるでしょう。ただし、競争が激しいため、十分な企業研究と面接対策を行い、転職エージェントも活用しながら転職活動を進めることをおすすめします。