日本を代表するトイレタリー・化粧品メーカーとして130年以上の歴史を誇る花王株式会社（以下、花王）。アタック、ニベア、ビオレなど数多くの人気ブランドを有し、国内外で事業を展開している同社は、充実した福利厚生制度で働きやすい環境を提供していることでも注目されています。本記事では、花王の福利厚生制度について、住宅手当や休暇制度、退職金制度まで詳しく解説します。転職を検討されている方や、花王への就職を考えている方は、ぜひ参考にしてください。

花王の会社概要

花王は、1887年に洋小間物商として創業し、1940年に花王株式会社として設立された、日本を代表する総合生活用品メーカーです。現在では世界約150の国と地域で事業を展開し、清潔・美・健康の領域で人々の生活を支える製品を提供しています。東京証券取引所プライム市場に上場しており、日経平均株価の構成銘柄にも選定されています。化学品から家庭用品、化粧品まで幅広い事業ポートフォリオを持つ総合企業として、安定した経営基盤を築いています。

花王の基本情報

項目	詳細
会社名	花王株式会社
本社所在地	東京都中央区日本橋茅場町一丁目14番10号
設立年	1940年
業種	化学・日用品製造業
事業内容	ハイジーン＆リビングケア、ヘルス＆ビューティケア、ライフケア、化粧品、ケミカル事業
上場市場	東京証券取引所プライム市場

花王の事業は大きく5つのセグメントに分かれています。ハイジーン＆リビングケア事業では、アタック、ハイター、マジックリンなどの洗剤・清掃用品を展開し、国内市場でトップシェアを誇ります。ヘルス＆ビューティケア事業では、ビオレ、メリット、エッセンシャルなどのヘアケア・スキンケア製品を提供しています。ライフケア事業では、業務用衛生製品を手がけ、ホテルや病院などのプロフェッショナル市場にサービスを提供しています。化粧品事業では、カネボウ化粧品を通じて高級化粧品分野にも進出し、多様な美容ニーズに対応しています。ケミカル事業では、油脂化学技術を活かした工業用製品を展開し、自動車、電子機器、建材など幅広い産業分野に製品を供給しています。

花王の福利厚生制度の特徴

花王の福利厚生制度は、「社員一人ひとりが能力を最大限発揮できる環境づくり」を基本理念として設計されています。日本の大手企業にふさわしい包括的な制度が整備されており、特に住宅支援制度や健康管理制度が充実している点が特徴です。ESG経営を推進する同社らしく、ワークライフバランスの実現を重視した制度設計となっており、従業員の多様なライフスタイルに対応した支援制度が用意されています。また、グローバル企業として海外展開も積極的に行っているため、転勤者への手厚いサポートや国際的な働き方に対応した制度も整備されています。

住宅関連制度

花王の住宅関連制度は、従業員のライフステージに応じた多様な住居選択をサポートする包括的な内容となっています。住宅手当については、結婚している従業員には35歳以下で都市圏勤務の場合6万円の支給があり、独身者にはその半分程度が支給されます。地方勤務の場合は支給額が調整される仕組みとなっています。独身寮制度では、新入社員や独身の従業員に対して、月額数万円程度の自己負担で利用できる寮を全国主要都市に設置しています。転勤者向けには借上社宅制度があり、会社が一定の上限額まで負担し、従業員の自己負担を軽減しています。また、持家購入支援制度として、住宅ローンを組む際の利子補給制度や融資制度も整備されており、従業員の住宅取得を多面的にサポートしています。

健康・医療関連制度

花王の健康・医療関連制度は、予防医学の観点を重視した先進的な内容となっています。健康保険組合による標準的な医療費補助に加えて、定期健康診断では法定項目を大幅に上回る充実した検査内容を提供しています。35歳以上の従業員には人間ドック受診の機会が提供され、早期発見・早期治療による健康維持をサポートしています。メンタルヘルス対策としては、産業医や臨床心理士によるカウンセリング制度が設置されており、ストレスチェックの実施とその後のフォローアップ体制も整備されています。また、インフルエンザ予防接種の費用補助や、健康増進を目的としたスポーツクラブ利用補助制度なども提供されており、従業員の健康づくりを総合的にサポートしています。花王ファミリー会という共済会を通じて、ベビーシッター・クーポンや学童クーポン、ホームヘルパー補助なども利用できます。

出典：花王株式会社 有価証券報告書（2023年12月期）、花王株式会社 採用サイト

休暇・働き方制度

花王は多様な働き方を実現するため、柔軟性に富んだ休暇制度と勤務制度を導入しています。年次有給休暇については、法定を上回る付与日数が設定されており、計画的な取得推進により高い取得率を実現しています。育児・介護支援制度では、法定期間を超えた育児休業の取得が可能で、男性の育児休職取得率は100％を超える水準となっています。復職時のサポート体制も充実しており、時短勤務制度と併せて仕事と育児の両立を支援しています。介護休業についても、家族の状況に応じて柔軟な取得が可能な制度設計となっています。フレックスタイム制度では、7時から20時のフレキシブルタイム内で始業・終業時刻を自由に設定でき、在宅勤務制度と組み合わせることで、より柔軟な働き方が実現できます。また、10年ごとに1週間の特別休暇と旅行券の支給があり、長期勤続者への感謝を示す制度も特徴的です。

教育・研修制度

花王の教育・研修制度は、従業員の継続的な成長とキャリア開発を総合的にサポートする体系的なプログラムとなっています。新入社員研修では、花王ウェイの理解から始まり、事業内容や基本的なビジネススキルを習得する包括的な内容となっています。階層別研修では、主任、係長、課長、部長といった各管理職層に応じた専門的な研修プログラムを実施し、リーダーシップとマネジメントスキルの向上を図っています。専門技術研修では、製品知識や最新の技術動向に関する情報の習得機会を提供し、技術力の向上を支援しています。自己啓発支援制度として、9,000を超える通学・通信教育・eラーニングプログラムが用意されており、従業員の多様な学習ニーズに対応しています。資格取得支援制度では、業務に関連する資格の取得費用を会社が負担し、合格時には報奨金の支給も行っています。グローバル企業として、語学研修制度も充実しており、TOEIC対策講座や海外研修プログラムも提供されています。

花王の各種手当・補助制度

制度・手当名	内容	対象者
住宅手当	結婚者最大6万円、独身者はその半分程度	全従業員
交通費	通勤定期代の全額支給	全従業員
家族手当	配偶者・子女に対する手当支給	扶養家族を有する従業員
資格取得支援	業務関連資格の受験料・教材費補助	全従業員
育児支援金	出産・育児に関する一時金支給	該当する従業員
介護支援金	家族介護に関する費用補助	該当する従業員

花王の各種手当・補助制度は、従業員の生活基盤を安定させ、働きやすい環境づくりを目的として設計されています。住宅手当は居住地域や家族構成に応じて支給額が調整され、特に都市圏で働く既婚者への支援が手厚くなっています。交通費については上限を設けることなく実費での支給を行い、公共交通機関だけでなく自家用車通勤の場合のガソリン代や駐車場代も対象となります。家族手当では、配偶者や子女の人数に応じた手当を支給し、子女については大学卒業まで継続して支給されます。資格取得支援制度では、技術系から営業系まで幅広い業務関連資格の取得を支援し、合格時には報奨金も支給されます。また、花王ファミリー会を通じて、福利厚生サービスで各地の旅館に格安で宿泊できたり、映画チケットが安く購入できるなど、生活を豊かにする様々なサービスも利用できます。

花王の退職金・年金制度

花王の退職金制度は、企業年金と退職一時金を組み合わせた安定性の高い制度設計となっています。確定給付企業年金制度では、勤続年数や給与水準に基づいて年金給付額が決定され、60歳以降に年金として受給することができます。一定の条件を満たす場合には一括受給も選択可能となっており、退職者のライフプランに応じた柔軟な受給方法が用意されています。退職一時金については、勤続3年以上の従業員を対象に、退職事由や勤続年数に応じて支給されます。企業年金基金による安定した運用により、長期にわたる退職後の生活設計をサポートしており、運用状況については定期的に従業員に報告されています。また、退職金の一部を在職中から確定拠出年金として運用することも可能で、従業員の選択により退職後の資産形成方法を決定できる制度も整備されています。

出典：花王株式会社 有価証券報告書（2023年12月期）

花王の福利厚生の評判・口コミ

従業員満足度調査や各種口コミサイトによると、花王の福利厚生制度に対する評価は概ね良好で、特に大手企業らしい制度の充実度が高く評価されています。住宅関連制度については「住宅手当の支給額が手厚く、独身寮や社宅制度も利用しやすい」「転勤時の住居確保サポートが充実している」といった好意的な評価が多く見られます。健康管理制度については「定期健康診断の項目が充実しており、人間ドックも会社負担で受けられる」「メンタルヘルスケアの相談窓口が利用しやすい」といった声が寄せられています。ワークライフバランスに関しては「フレックスタイム制度や在宅勤務制度により、働き方の自由度が高い」「育児・介護休業制度が充実しており、復職のサポートも手厚い」という評価があります。また、「10年ごとの特別休暇と旅行券の支給は他社にはない特徴的な制度」「福利厚生サービスで映画や宿泊施設を安く利用できる」といった具体的な制度への満足度も高いことが分かります。一方で、「制度は充実しているが、部署によって運用に差がある」といった改善を求める意見も一部で見られます。

他社との福利厚生比較

制度	花王	ユニ・チャーム	ライオン
住宅手当	結婚者最大6万円支給	住宅手当・社宅制度	住宅手当支給
有給取得率	約75%	約78%	約70%
退職金制度	企業年金・退職一時金	確定給付企業年金	企業年金・退職一時金
育児支援	男性育児休職取得率102%	育児休業制度	育児・介護休業制度
研修制度	9,000超の教育プログラム	グローバル人材育成	階層別研修制度

日用品・化粧品業界における他社との比較では、花王の福利厚生制度は業界内でも上位レベルの充実度を誇っています。住宅関連制度については、結婚者への6万円支給は業界でも高水準であり、ユニ・チャームやライオンと比較しても遜色のない内容となっています。有給取得率では業界平均を上回る水準を維持しており、働き方改革への積極的な取り組みが評価できます。育児支援制度では、男性の育児休職取得率が100％を超える水準にあり、他社と比較しても先進的な取り組みを行っています。退職金制度については、企業年金と退職一時金の併用により安定した制度設計となっており、業界標準レベルの制度を提供しています。研修制度では、9,000を超える教育プログラムの提供により、他社と比較して圧倒的な学習機会を提供している点が差別化要素となっています。また、10年ごとの特別休暇と旅行券支給制度は、他社にはない花王独自の制度として従業員から高く評価されています。

花王への転職で注目すべき福利厚生ポイント

転職時の福利厚生チェックポイント

花王への転職を検討する際は、以下の福利厚生ポイントを重点的に確認することをお勧めします。まず、住宅関連制度については、現在の居住状況と転職後の勤務地を考慮して、住宅手当の支給条件や社宅・寮の利用可能性を詳しく確認しましょう。特に結婚している方は都市圏勤務での6万円支給の条件を、独身の方は独身寮の利用条件を確認することが重要です。転勤の可能性がある職種の場合は、転勤時の引越費用負担や借上社宅制度の詳細についても事前に聞いておくことが必要です。休暇制度では、有給取得の実態や育児・介護休業の取得実績、フレックスタイム制度の運用状況を確認し、ワークライフバランスの実現可能性を判断しましょう。退職金制度については、前職での加入期間の通算可否や、中途採用者への適用条件を明確にしておくことが重要です。また、研修制度では、中途採用者向けのオンボーディングプログラムの内容や、9,000を超える教育プログラムの利用条件についても確認することをお勧めします。

入社後の手続きと利用方法

花王入社後の福利厚生制度の手続きは、人事部門の丁寧なサポートの下で段階的に進められます。入社初日から利用可能な制度として、健康保険や厚生年金などの社会保険手続きが行われ、同時に企業年金制度への加入手続きも開始されます。住宅関連制度の申請は入社後1ヶ月以内に行う必要があり、住宅手当の支給開始は入社2ヶ月目からとなります。独身寮や借上社宅の利用希望者は、入社前の内定通知後から申し込みが可能で、入居時期についても柔軟に対応してもらえます。研修制度については、入社時のオリエンテーションで詳細な説明があり、9,000を超える教育プログラムの中から必要な研修への参加申し込みは上司との相談の上で決定されます。資格取得支援制度の利用は入社6ヶ月後から可能となり、年度予算の範囲内で計画的な利用が推奨されています。各種手当の申請は専用システムを通じて行われ、承認プロセスも電子化されているため、スムーズな手続きが可能です。また、花王ファミリー会への加入手続きも入社と同時に行われ、各種福利厚生サービスの利用が開始されます。

まとめ

花王の福利厚生制度は、日本を代表する大手企業にふさわしい包括的で充実した内容となっています。住宅関連制度の手厚いサポート、多様な働き方を支援する柔軟な休暇制度、安定した退職金・年金制度など、従業員のライフステージに応じた総合的な支援体制が整備されています。特に、9,000を超える教育プログラムの提供や男性の育児休職取得率100％超の実現、10年ごとの特別休暇制度など、他社との差別化要素も多く、働く環境として大きな魅力があります。

転職を検討される方は、これらの福利厚生制度が自身のキャリアプランやライフスタイルに適合するかを慎重に検討することが重要です。花王では、ESG経営を推進し、従業員一人ひとりが能力を最大限発揮できる環境づくりを重視しており、充実した福利厚生制度はその実現のための重要な基盤となっています。転職活動の際は、給与条件だけでなく、これらの福利厚生制度も含めて総合的に判断することで、より良いキャリア選択ができるでしょう。