日本電気株式会社（以下、NEC）は、ITサービスや社会インフラ事業を展開する日本を代表する総合電機メーカーです。生成AIや生体認証技術などの先端技術から海底ケーブルの構築まで幅広く事業を展開しており、転職市場でも高い人気を誇っています。NECの魅力は技術力だけでなく、充実した福利厚生制度にもあります。この記事では、NECの福利厚生について、住宅手当や休暇制度、退職金制度まで詳しく解説し、転職検討者の方が知っておくべき情報をわかりやすくお伝えします。

日本電気（NEC）の会社概要

日本電気株式会社は、1899年に設立された120年以上の歴史を持つ日本を代表する総合電機メーカーです。従業員数は単体で約2万人、連結で約11万人を擁し、東京証券取引所プライム市場に上場しています。同社は「Orchestrating a brighter world」をビジョンに掲げ、デジタル社会の実現に向けてITサービスや社会インフラ事業を世界規模で展開しています。

日本電気（NEC）の基本情報

項目	詳細
会社名	日本電気株式会社（NEC Corporation）
本社所在地	東京都港区芝五丁目7番1号
設立年	1899年
業種	電気機器
事業内容	ITサービス、ネットワークサービス、社会基盤、DX
上場市場	東京証券取引所プライム市場

NECの事業領域は非常に多岐にわたり、主にパブリック、エンタープライズ、ネットワークサービス、グローバルの4つのビジネスユニットで構成されています。パブリック事業では官公庁や自治体向けのシステム構築、エンタープライズ事業では民間企業向けのITソリューション、ネットワークサービス事業では通信インフラの提供、グローバル事業では海外市場での事業展開を行っています。特に生体認証技術や5G関連技術では世界トップクラスの技術力を有しており、デジタル社会の発展に大きく貢献しています。

日本電気（NEC）の福利厚生制度の特徴

NECの福利厚生制度は、従業員一人ひとりが自分のライフスタイルに合わせて多様なサービスを選択できる「カフェテリアプラン制度」を中心とした充実した内容となっています。2020年4月から導入された「Will be」という新しい福利厚生制度では、会社が設定したモデル型のライフプランではなく、従業員が自ら選択・デザインできる仕組みを採用しています。

住宅関連制度

NECの住宅関連制度は、転職者にとって非常に重要な福利厚生の一つです。住宅支援として、セットアップ住居、家賃補助制度、転勤借上社宅制度、購入・賃貸提携割引が提供されています。住宅手当については、3年目まで4万、5年目まで3万円の補助が出るとの口コミが多く寄せられており、若手社員への住宅支援が手厚いことがわかります。また、転勤扱いだったので住宅手当は家賃の7割を会社が負担する形との情報もあり、転勤者には特に優遇された制度が用意されています。独身者向けには社員寮も提供されており、新卒採用者をはじめとする若手社員の住環境をしっかりとサポートしています。

健康・医療関連制度

NECの健康・医療関連制度は、従業員の健康管理を多角的にサポートする充実した内容となっています。保険として雇用保険、労災保険、健康保険、厚生年金保険が完備されており、基本的な社会保険は万全です。さらに、NEC健康保険組合、人間ドック補助、健康増進セミナー、社内産業医といった独自の健康管理制度も充実しています。健康診断は定期的に実施され、人間ドック受診についても会社からの補助があるため、従業員の健康維持・増進を積極的に支援しています。また、社内に産業医が配置されているため、体調面での相談や職場の健康管理についても適切なサポートを受けることができます。

休暇・働き方制度

NECの休暇・働き方制度は、ワークライフバランスの実現を重視した先進的な内容となっています。年次有給休暇（初年度20日、翌年まで積立可、半日単位・時間単位取得制度あり）、結婚休暇、産前産後休暇、ファミリーフレンドリー休暇、キャリアデザイン休暇など多様な休暇制度が整備されています。働き方については、コアタイムなしのフレックスタイム制（標準勤務時間帯：8時30分〜17時15分、標準所定労働時間：7時間45分、休憩時間：60分）を採用しており、従業員の自律的な働き方を支援しています。また、テレワーク制度が行き届いており、人によっては完全テレワークで業務を遂行しているとの口コミがあり、在宅勤務制度も充実していることがわかります。年間休日は126日（2024年度）と業界水準を上回る日数が確保されています。

教育・研修制度

NECの教育・研修制度は、従業員の成長とキャリア開発を包括的にサポートする充実した内容となっています。階層別・選抜研修、職種・テーマ別研修が体系的に整備されており、各職位や専門分野に応じた研修プログラムが提供されています。また、LinkedIn learning：時間と場所を問わずに多様な学習が可能なオンライン動画学習サービスも導入されており、自主的な学習を強力にサポートしています。資格取得支援についても、学習支援で資格受験で費用の半分出してくれる。資格手当の種類も多く、意外と仕事に直接関係ない資格でも対象だったりするとの口コミがあり、従業員のスキルアップを積極的に支援していることがわかります。さらに、キャリアデザイン支援プログラムも提供されており、長期的なキャリア形成についても手厚いサポートが用意されています。

出典：日本電気株式会社 採用サイト（2025年）、日本電気株式会社 有価証券報告書（2025年3月期）

日本電気（NEC）の各種手当・補助制度

NECの各種手当・補助制度は、カフェテリアプラン制度を中心とした柔軟性の高い仕組みが特徴です。カフェテリアプラン制度：毎年付与されるポイントの範囲内で、それぞれのニーズに合ったサービスを選択・利用可能。基本ポイント 年間86,000pt（1ポイント1円、健康・成長メニューは1ポイント1.2円〜2円）という制度により、従業員は自分のライフスタイルに合わせて福利厚生を活用できます。

制度・手当名	内容	対象者
カフェテリアプラン	年間86,000ポイント（1ポイント1円換算）、成長・健康メニューは優遇レート	全従業員・臨時従業員
住宅手当	若手は3〜4万円、転勤者は家賃の7割補助（期間限定）	入社5年目まで、転勤者
育児ポイント	基本ポイントとは別に仕事との両立支援ポイント付与	育児を行う従業員
介護ポイント	基本ポイントとは別に仕事との両立支援ポイント付与	介護を行う従業員（2親等以内に拡大）
ペアレント・ファンド	子の出生時の一時金支給	新たに子が生まれた従業員

2024年度からは、成長のための自己投資や健康増進サービスへの補助について、ポイント単価を引き上げることで、福利厚生のコンセプトであるGrowth & Well-beingの実現を強力に支援することができるようになりました。これにより、従業員の自己投資や健康管理への意識向上を促進しています。また、介護ポイントの利用対象について、2024年度以降、従来の「要介護」「要支援」の認定を受けた家族（配偶者・親・祖父母）のみならず、障がいのある家族についても対象とするとともに、家族の範囲についても2親等以内に拡大されており、多様な家族形態に対応した支援制度が整備されています。

日本電気（NEC）の退職金・年金制度

NECの退職金・年金制度は、2024年4月に大幅な制度改定が行われ、より公平で現代的な仕組みへと進化しました。当社の退職給付制度は、在籍中に積み立てて退職時に支給する退職金制度と、企業型確定拠出年金（DC年金）の2つの制度で構成しています。制度改定により、年収と職位に基づいて入社から退職まで年齢や勤続年数にかかわらず一貫して付与（拠出）する仕組みに改定しました。これにより、報酬制度のPay for Job / Pay for Performanceの考えに基づいた公平な処遇制度を実現しています。

企業型確定拠出年金については、NECは制度運営において高い評価を受けており、2020年10月に退職金・年金制度を改正し、それまでは、DB年金制度（全体の60％）を主体に、DC年金または前払い退職金（20％）、退職一時金（20％）という制度だったものを、DC年金または前払い退職金（80％）と退職一時金（20％）という制度に移行したという大きな制度変更を実施しました。この制度変更に伴い、「社員が信頼できるDC年金運営体制の確立」と「継続的な教育機会提供による社員のマネープラン理解や資産運用リテラシーの底上げ」を目的として「NECグループDC年金委員会（DC委員会）」を設置し、従業員の資産形成を積極的に支援しています。

これまでに当社が行ってきたDC年金制度の基盤整備や継続投資教育の充実化、個別相談窓口の設置などといった資産形成支援は、従業員のFinancial Well-beingを向上させ、仕事やプライベートをより一層充実させるとともに、従業員の多様なキャリア選択を阻害することなく、社内外を含めた幅広い視点で長期的なキャリア開発を行うことへのモチベーションとしても機能しています。このように、単なる退職給付制度を超えて、従業員の人生設計全体をサポートする制度として位置づけられています。

日本電気（NEC）の福利厚生の評判・口コミ

NECの福利厚生に対する従業員の評判は全体的に良好で、特にカフェテリアプラン制度については高い評価を得ています。カフェテリアプランが導入され毎年10万近くポイントがもらえるため、資格やテレワークに必要なものを揃えるために使ったとの口コミが多く見られ、制度の実用性が評価されています。また、育休や、出産のための支援金もあり女性にも優しく非常にありがたい。育休後の復帰率が高いという声もあり、ワークライフバランスの実現に向けた制度が充実していることがわかります。

働き方については、テレワーク制度が行き届いており、人によっては完全テレワークで業務を遂行しているとの評価があり、柔軟な働き方が実現できていることが確認できます。一方で、住宅手当については住宅手当については同業他社の方が条件が良いように思うという意見や、住宅手当や出張手当ては毎年減額の一方です。昔は良かったと話を聞きますが、売上が物語っているように厳しい状況が続いていますという指摘もあり、一部の制度については改善の余地があることも示されています。

副業・兼業制度についても、兼職制度ができたことで簡単な申請さえすれば副業が可能になったとの評価があり、多様な働き方を支援する制度が整備されていることが確認できます。また、副業は申請制で、会社に届け出をすれば原則として許可される。業務に支障が出ない範囲であれば、空いた時間を活用して収入を得たりスキルを磨いたりすることができるという情報もあり、キャリア開発の選択肢が広がっていることがわかります。

他社との福利厚生比較

NECの福利厚生を同業他社と比較すると、総合的には良好な水準にありますが、制度によっては差があることがわかります。電機メーカー大手との比較において、NECの特徴的な制度であるカフェテリアプラン制度は、従業員の選択の自由度が高く、個々のニーズに対応できる点で優位性があります。

制度	NEC	富士通	日立製作所
住宅手当	若手3〜4万円、転勤者家賃7割補助	地域・年齢により異なる	転勤者中心の支援
カフェテリアプラン	年間86,000ポイント	類似制度あり	類似制度あり
退職金制度	退職一時金+企業型DC（8：2比率）	確定給付+確定拠出	確定給付+確定拠出
在宅勤務	完全テレワーク可能	ハイブリッドワーク	リモートワーク制度

住宅手当については、口コミで住宅手当については同業他社の方が条件が良いように思うという指摘があるように、業界内では中程度の水準となっています。一方で、カフェテリアプラン制度の充実度や、在宅勤務制度の柔軟性については業界トップクラスの水準にあります。退職金制度については、2024年の制度改定により企業型確定拠出年金の比重を高めた点で、従業員の資産形成支援により積極的な姿勢を示しています。

また、NECの特徴として、副業・兼業、短時間勤務など多様な働き方を支援する制度が充実している点が挙げられます。これは、従業員のキャリア自律を重視する同社の人材戦略の表れでもあり、他社と比較して先進的な取り組みといえるでしょう。

日本電気（NEC）への転職で注目すべき福利厚生ポイント

転職時の福利厚生チェックポイント

NECへの転職を検討する際に特に注目すべき福利厚生のポイントは以下の通りです。まず、カフェテリアプラン制度の活用可能性を確認しましょう。年間86,000ポイントという充実したポイント数は、自己投資や健康管理、家族との時間充実など様々な用途に活用できます。特に、成長のための自己投資や健康増進サービスへの補助について、ポイント単価を引き上げることで、福利厚生のコンセプトであるGrowth & Well-beingの実現を強力に支援している点は、キャリア開発を重視する転職者にとって大きなメリットです。

住宅手当については、年齢や勤続年数による制限があるため、自身の状況に当てはめて検討する必要があります。3年目まで4万、5年目まで3万円の補助という制度は新卒向けの色合いが強く、中途採用者の場合は転勤の有無によって支援内容が変わることを理解しておくことが重要です。

働き方の柔軟性については、コアタイムなしのフレックスタイム制や完全テレワークの可能性など、現代的な働き方が実現できる環境が整っています。特に、副業・兼業が認められている点は、キャリアの多様化を図りたい転職者にとって魅力的なポイントです。

退職金・年金制度については、2024年の制度改定により年収と職位に基づいて入社から退職まで年齢や勤続年数にかかわらず一貫して付与（拠出）する仕組みになったため、中途採用者にとっても公平な制度となっています。企業型確定拠出年金の比重が高いため、資産運用に対する理解と積極性が求められる点も考慮しておきましょう。

入社後の手続きと利用方法

NECに入社した後の福利厚生制度の利用開始時期と手続きについて説明します。カフェテリアプラン制度は入社と同時に利用開始となり、年間ポイントは入社月に応じて按分されて付与されます。制度の詳細説明や申請方法については、入社後のオリエンテーションで詳しく案内されるため、積極的に参加することが重要です。

住宅手当については、入社時に申請が必要で、賃貸契約書などの必要書類を準備しておく必要があります。中途採用者で入社に伴う転居が必要な場合は、就職支度金として引越代や家賃1か月分等が支給されるセットアップ支援もあるため、人事担当者に早めに相談することをお勧めします。

健康保険や厚生年金保険などの社会保険手続きは入社初日から有効となりますが、企業型確定拠出年金については別途手続きが必要です。資産運用に関する研修も定期的に開催されているため、投資初心者の方でも安心して制度を活用できます。

フレックスタイム制やテレワーク制度の利用については、配属先の部門や職種によって運用が異なる場合があるため、上司や人事担当者と相談の上で利用開始時期を決定します。副業・兼業についても、入社後に申請手続きを行うことで利用可能となります。

まとめ

日本電気（NEC）の福利厚生制度は、カフェテリアプラン制度を中心とした充実した内容で、従業員の多様なニーズに対応できる柔軟性の高い仕組みが特徴です。年間86,000ポイントのカフェテリアプラン、コアタイムなしのフレックスタイム制、完全テレワーク対応、副業・兼業制度など、現代的な働き方を支援する制度が整備されています。

住宅手当については若手中心の支援となっており、転勤者には手厚い補助が用意されています。退職金・年金制度は2024年に大幅改定され、企業型確定拠出年金を中心とした公平性の高い制度へと進化しました。教育・研修制度も充実しており、従業員の成長とキャリア開発を積極的に支援しています。

転職検討者の方にとって、NECの福利厚生制度は総合的に見て魅力的な内容といえるでしょう。特に、自己投資やキャリア開発を重視する方、柔軟な働き方を求める方、長期的な資産形成を考える方にとっては、非常に適した環境が整っています。ただし、住宅手当などの一部制度については年齢や勤続年数による制限があるため、自身の状況に合わせて検討することが重要です。

NECへの転職を検討される際は、これらの福利厚生制度を活用してどのようなキャリアとライフスタイルを実現したいかを明確にし、面接時に具体的な質問をすることをお勧めします。充実した福利厚生制度を背景に、技術力の向上と社会貢献を両立させながら、充実したキャリアを築いていくことができるでしょう。