株式会社高島屋（以下、高島屋）は、1831年創業の老舗百貨店として日本の小売業界をリードしてきた企業です。長い歴史の中で培われた豊富な福利厚生制度は、従業員とその家族の「豊かでゆとりある生活者」の実現を支援しています。本記事では、高島屋の具体的な福利厚生制度について、住宅関連制度から休暇・働き方制度、退職金・年金制度まで詳しく解説します。転職を検討されている方が知っておくべき高島屋の福利厚生の特徴と評判、他社との比較、そして転職時のチェックポイントまで、包括的にご紹介します。

高島屋の会社概要

高島屋は1831年に京都で古着・木綿商として創業し、現在では日本を代表する老舗百貨店として知られています。大阪府大阪市中央区難波に本社を置き、東京・大阪を中核とした基幹店を展開する大手百貨店です。グループ全体では百貨店業を中心に、商業開発業、金融業、建装業など多岐にわたる事業を展開し、連結子会社36社によるグループ経営を通じて安定的な成長を続けています。日経平均株価の構成銘柄の一つでもあり、業界での地位は非常に高く評価されています。

高島屋の基本情報

項目	詳細
会社名	株式会社高島屋
本社所在地	大阪府大阪市中央区難波5丁目1番5号
設立年	1919年8月20日（創業：1831年1月10日）
業種	百貨店業
事業内容	百貨店業、法人事業、通信販売事業、グループ事業
上場市場	東証プライム
資本金	660億25百万円（2025年2月末時点）
従業員数	連結：10,494名、単体：6,643名（2025年2月末時点）
営業収益	4,985億円（連結）、3,391億円（単体）（2025年2月期）

高島屋の事業は百貨店業を中核としながら、多角的な展開を見せています。主力の百貨店事業では、東京・日本橋店、大阪店、新宿店、横浜店、京都店など全国に主要店舗を展開し、各地域での中心的な商業施設として機能しています。特に日本橋店は年間売上高1,239億円（2021年）を記録し、全国4位の規模を誇ります。グループ事業では、東神開発による商業開発業、高島屋ファイナンシャル・パートナーズによる金融業、高島屋スペースクリエイツによる建装業など、百貨店事業とシナジーを発揮する多様な事業領域を展開しています。

高島屋の福利厚生制度の特徴

高島屋の福利厚生制度は「働く人とその家族が豊かでゆとりある生活者として生活を築き上げる努力に対し、今後も支援する制度を幅広く整える」という理念のもと設計されています。同社は2015年に「プラチナくるみん」認定を受け、2017年には女性が輝く先進企業「内閣総理大臣表彰」を受賞、さらに2022年には「健康経営優良法人」に認定されるなど、働きやすい職場環境の整備に積極的に取り組んでいます。

住宅関連制度

高島屋の住宅関連制度については、一般的な住宅手当制度が整備されていますが、支給条件に特徴があります。従業員の口コミによると、自宅から2時間以上の通勤時間がかかる場合に住宅手当が支給される制度となっており、転勤時には全ての費用を会社が負担し、住宅補助も提供されています。また、単身赴任時には月1回の帰省手当が支給されるなど、遠距離勤務者への配慮が充実しています。新入社員については、入社当初の3年間は住宅補助制度が適用されるとの情報もあり、特に地方出身者や若手社員への支援体制が整備されています。出典：高島屋 採用サイト、転職会議口コミ情報

健康・医療関連制度

高島屋の健康・医療関連制度は、高島屋健康保険組合による充実した保障が特徴です。健康保険料率の個人負担は協会けんぽや他の健康保険組合と比べて低い水準に設定されており、さらに高島屋健保独自の付加給付として一部負担還元金や傷病手当付加金の支給が受けられます。具体的には、月の医療費が25,000円以上かかった場合の一部負担還元金制度や、ケガ・病気で4日以上休むことになった場合の傷病手当金制度があります。また、定期健康診断をはじめとする予防医療にも力を入れており、従業員の健康管理を経営的な視点で捉えた戦略的な取り組みを行っています。出典：高島屋健康保険組合、センチュリーアンドカンパニー福利厚生サービス案内

休暇・働き方制度

高島屋の休暇・働き方制度は小売業界の中でも非常に充実しており、年間休日122日を確保しています。有給休暇は年間11日から20日付与され、特に注目すべきは年2回の10日連休制度と5年ごとの14日連休制度です。従業員の口コミによると、有給取得率は90%近くと非常に高く、年間休日が120日以上で業界内でも恵まれた環境となっています。また、社員食堂利用可、慶弔休暇、スクールイベント休暇、ボランティア休暇、年休リザーブ休暇など多様な休暇制度が整備されています。月平均残業時間は5.2時間（2024年2月末時点）と非常に少なく、ワークライフバランスが重視された職場環境です。出典：高島屋 採用サイト

教育・研修制度

高島屋の教育・研修制度は、オープンエントリー制度や社内FA制度により、従業員が主体的にキャリアを築けるよう設計されています。資格取得支援制度では、やる気があれば会社の負担で様々な資格を取得できる環境が整っており、宅地建物取引士やファイナンシャルプランナーといった業務に直接関わりのない資格についても、一定の成績を取れば会社が費用を負担してくれます。2022年度の研修参加人数は延べ4,107名に上り、階層別研修、コンプライアンス研修、ハラスメント研修、通信教育講座など多岐にわたる研修メニューが用意されています。また、高島屋グループ通信教育講座や資格取得費用補助、合格祝い金制度など、従業員の自己啓発を積極的に支援する制度が充実しています。出典：高島屋 採用サイト、転職会議口コミ情報

高島屋の各種手当・補助制度

制度・手当名	内容	対象者
住宅手当	通勤時間2時間以上の場合に支給、新入社員は3年間	条件該当者
交通費	全額支給（最安値での購入が基本）	全従業員
家族手当	扶養家族に対する手当	扶養者がいる従業員
単身赴任手当	月1回の帰省手当を支給	単身赴任者
転勤支援	転勤費用全額会社負担	転勤対象者
資格取得支援	会社負担での資格取得、合格祝い金制度	全従業員
奨学金補助	月額1万円の奨学金補助	該当者
社員割引	高島屋内での買い物10%割引	全従業員・パート

高島屋の各種手当制度は、従業員の生活安定を重視した設計となっています。特に転勤時の費用全額負担や単身赴任者への帰省手当は、百貨店業界特有の転勤の多さを考慮した配慮といえます。社員割引制度では10%の割引が適用され、年に数回20-30%の特別割引チケットも配布されます。また、従業員販売制度により、特別価格での商品購入も可能となっています。資格取得支援では、業務に関連性の低い資格でも会社が費用負担し、合格時には祝い金が支給されるなど、従業員の自己啓発を積極的に後押ししています。出典：高島屋グループ企業採用情報、転職会議口コミ情報

高島屋の退職金・年金制度

高島屋の退職金・年金制度については、大手企業として一般的な退職金制度と企業年金制度が整備されています。従業員の口コミによると、社内預金制度、財形貯蓄、確定拠出年金、持ち株制度、企業年金などが実施されており、退職金制度とは別に企業年金制度も用意されています。高島屋健康保険組合では、入院保証や年金制度なども含めた手厚い福利厚生が提供されており、長期的な生活設計をサポートする仕組みが整っています。ただし、具体的な退職金額や企業年金の詳細については、公式データとしては非開示となっており、個別の条件や勤続年数によって大きく異なります。従業員持株会制度もあり、自社株式を通じた資産形成の機会も提供されています。

高島屋の福利厚生の評判・口コミ

高島屋の福利厚生について、従業員や元従業員からの評判は総じて非常に良好です。「福利厚生はどこの百貨店よりも良いと個人的には思う」「福利厚生は非常に充実している」といった高評価の口コミが多数見られます。特に評価が高いのは休暇制度で、「とにかく小売業の中では圧倒的な休みが多い。年間休日は120日、年に4回の6連休取得必須。有給取得率も90%近く、かなり取りやすい」との声があります。また、健康保険制度についても「社内預金など福利厚生は手厚い。健康保険で入院保証がついていたり、年金も企業年金も実施している」と高く評価されています。一方で、改善点として住宅補助の充実を求める声も多く、「改善した方がいいと思うのは住宅補助がない点である。この年収で都内一人暮らしは厳しく、自由にお金を使うことはできない」という意見も見られます。

出典：転職会議口コミ情報、ライトハウス口コミ情報

他社との福利厚生比較

制度	高島屋	三越伊勢丹	大丸松坂屋
年間休日	122日	約120日	約120日
有給取得率	約90%	約80%	約75%
社員割引	10%割引（年数回20-30%特典あり）	10%割引（レストラン・カフェも対象）	5-10%割引
連続休暇制度	年2回10日連休、5年毎14日連休	一般的な長期休暇制度	一般的な長期休暇制度
住宅手当	条件付き支給（通勤2時間以上）	限定的な支給	限定的な支給
資格取得支援	幅広い資格で会社負担	業務関連資格中心	業務関連資格中心
月平均残業時間	5.2時間	約10-15時間	約10-15時間

百貨店業界の主要3社と比較すると、高島屋の福利厚生は多くの面で優位性があります。特に年間休日数122日は業界トップクラスで、有給取得率約90%も同業他社を大きく上回ります。連続休暇制度では年2回の10日連休と5年ごとの14日連休は他社にはない独自の制度です。月平均残業時間5.2時間は業界内で最も少なく、ワークライフバランスの良さが際立っています。社員割引制度は各社とも10%程度で横並びですが、高島屋は年数回の特別割引が充実している点で差別化されています。一方、住宅手当については各社とも限定的で、この点は業界全体の課題といえます。資格取得支援では高島屋が最も幅広い資格を対象としており、従業員の自己啓発支援に積極的な姿勢が表れています。

高島屋への転職で注目すべき福利厚生ポイント

転職時の福利厚生チェックポイント

高島屋への転職を検討する際に、特に注意深く確認すべき福利厚生のポイントがあります。まず、年間休日122日と有給取得率90%という業界トップクラスの休暇制度は、ワークライフバランスを重視する転職者にとって大きな魅力です。年2回の10日連休制度は他社にはない特徴的な制度で、長期旅行や家族との時間確保に非常に有効です。住宅関連については、通勤時間2時間以上という条件付きではありますが住宅手当が支給され、転勤時は費用全額負担、単身赴任時は月1回の帰省手当支給など、転居を伴う転職者への配慮が充実しています。資格取得支援制度では、業務に直接関わらない資格でも会社負担で取得可能で、キャリアアップを目指す転職者には魅力的な制度です。月平均残業時間5.2時間という低水準も、プライベート時間を確保したい転職者には重要な判断材料となります。

入社後の手続きと利用方法

高島屋への入社が決定した後の福利厚生制度の利用開始について理解しておくことが重要です。社会保険関連は入社と同時に高島屋健康保険組合への加入となり、協会けんぽより低い保険料率と独自の付加給付の恩恵を即座に受けることができます。社員割引カードは入社後速やかに発行され、10%割引での買い物が可能になります。有給休暇は勤続6か月後から付与が開始されますが、入社初年度から慶弔休暇やスクールイベント休暇などの特別休暇は利用可能です。住宅手当については、入社時に通勤経路と時間を申告し、条件に該当する場合は入社月から支給されます。資格取得支援制度は入社直後から利用可能で、受験前に所定の申請手続きを行うことで会社負担での受験が可能となります。財形貯蓄や企業年金、持株会制度については、入社後の説明会で詳細を確認し、希望に応じて加入手続きを進めることになります。

まとめ

高島屋の福利厚生制度は、百貨店業界の中でも特に充実しており、「働く人とその家族が豊かでゆとりある生活者として生活を築き上げる」という企業理念を具現化した内容となっています。年間休日122日、有給取得率約90%、月平均残業時間5.2時間という数値は、ワークライフバランスを重視する現代の働き方にマッチした優れた制度です。特に年2回の10日連休制度や5年ごとの14日連休制度は他社にはない独自性があり、長期的な人生設計やプライベートの充実を図ることができます。住宅関連制度や資格取得支援、健康保険組合の充実した保障など、従業員の生活全般を支援する包括的な福利厚生が整備されています。

転職を検討される方にとって、高島屋の福利厚生制度は単なる待遇面でのメリットにとどまらず、長期的なキャリア形成と生活の質向上を実現する重要な要素といえます。特に第二新卒や30代の若手ビジネスマンの方には、充実した教育・研修制度と資格取得支援により、自己啓発とスキルアップの機会が豊富に用意されています。プラチナくるみん認定や健康経営優良法人認定を受けるなど、外部からも高く評価される働きやすい職場環境は、安心して長期的なキャリアを築ける基盤となるでしょう。転職時には、これらの制度の詳細について人事担当者に確認し、自身のライフスタイルや将来設計に合致するかを十分検討することをお勧めします。

出典：高島屋グループ企業採用情報