株式会社ツムラ(以下、ツムラ)は、日本で最も有名な漢方薬メーカーとして132年の歴史を誇る老舗企業です。医療用漢方製剤市場では国内シェア80%以上を占める圧倒的なリーディングカンパニーとして知られています。この記事では、転職を検討している方に向けて、ツムラの平均年収や福利厚生、転職難易度について詳しく解説していきます。最新の有価証券報告書に基づく正確なデータを基に、同業他社との比較や年齢別・役職別の年収推移もご紹介しますので、ぜひ転職活動の参考にしてください。
ツムラの会社概要
ツムラは1893年に津村重舎が東京・日本橋で漢方薬店として創業した、創業132年の歴史ある製薬メーカーです。現在では医療用漢方製剤市場において国内シェア83.2%を誇る圧倒的なトップ企業として、日本の漢方医療の発展を牽引しています。売上高は1,400億円を超え、従業員数は連結で4,138名の規模を持つ安定した経営基盤を築いています。
ツムラの基本情報
項目 | 詳細 |
---|---|
会社名 | 株式会社ツムラ |
本社所在地 | 東京都港区赤坂二丁目17番11号 |
設立年 | 1936年 |
業種 | 医薬品 |
事業内容 | 医療用漢方製剤・一般用漢方製剤の製造販売 |
上場市場 | 東京証券取引所プライム市場 |
ツムラの事業は大きく分けて医療用医薬品事業と一般用医薬品事業に分かれています。医療用医薬品事業では、全国の病院・医院で処方される医療用漢方製剤129品目を提供しており、高齢者関連領域、女性関連領域、がん領域を重点分野として事業を展開しています。一般用医薬品事業では、創業以来販売を続けている婦人薬「中将湯」をはじめ、風邪薬や胃腸薬など42処方に基づく幅広い製品ラインナップを揃えています。また、中国・米国を中心とした海外事業にも積極的に取り組み、グローバルに漢方医学の普及を目指しています。
ツムラの平均年収はどのぐらい?
年度別の平均年収推移
年度 | 平均年収 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 従業員数 |
---|---|---|---|---|
2024年3月期 | 806万円 | 43.0歳 | 17.2年 | 2,711名 |
2023年3月期 | 835万円 | 43.6歳 | 17.4年 | 2,564名 |
2022年3月期 | 838万円 | 43.5歳 | 20.1年 | 2,358名 |
2021年3月期 | 849万円 | 43.2歳 | 18.9年 | 2,312名 |
2020年3月期 | 823万円 | 42.8歳 | 18.5年 | 2,287名 |
2019年3月期 | 789万円 | 42.5歳 | 18.2年 | 2,245名 |
出典:株式会社ツムラ 有価証券報告書(2024年3月期)
ツムラの最新の平均年収は806万円(2024年3月期)となっています。過去6年間の推移を見ると、789万円から849万円の範囲で推移しており、安定した高水準を維持していることが分かります。2024年3月期は前年比で29万円の減少となりましたが、これは一時的な調整であり、長期的には上昇トレンドを維持している状況です。
他企業との比較データ
企業名 | 平均年収 | 業界 |
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ツムラ | 806万円 | 漢方薬 |
武田薬品工業 | 1,076万円 | 製薬大手 |
第一三共 | 1,104万円 | 製薬大手 |
アステラス製薬 | 1,051万円 | 製薬大手 |
エーザイ | 1,036万円 | 製薬大手 |
キョーリン製薬HD | 843万円 | 製薬中堅 |
参天製薬 | 791万円 | 製薬中堅 |
製薬業界における比較では、ツムラの平均年収806万円は大手製薬メーカーには及ばないものの、中堅製薬メーカーと比較すると競争力のある水準です。特に漢方薬という特殊な分野での圧倒的な市場シェアを考慮すると、安定性と将来性を兼ね備えた魅力的な給与水準といえるでしょう。
ツムラの役職別年収データ
役職 | 推定年収(万円) |
---|---|
一般社員 | 500~650 |
係長・主任クラス | 650~800 |
課長クラス | 1,000~1,200 |
部長クラス | 1,300~1,500 |
執行役員クラス | 1,800~2,500 |
ツムラの役職別年収は、基本的に年功序列制度を基盤としており、昇格には社内試験の合格が必要となります。課長職に昇進すると年収1,000万円台に到達し、製薬業界としては標準的な水準です。ただし、昇格試験の受験資格は上位30%以内に限られているため、全員が昇進できるわけではありません。管理職に昇格できない場合は給与の伸びが限定的になる点は注意が必要です。
ツムラの年齢別年収推移
年代 | 推定年収範囲(万円) |
---|---|
20代 | 400~650 |
30代 | 550~750 |
40代 | 750~1,000 |
50代以上 | 850~1,200 |
ツムラの年齢別年収推移は、20代で400万円台からスタートし、30代で550万円~750万円、40代で750万円~1,000万円と着実に上昇していきます。新卒初任給は大卒で22万円、院卒で22万9,400円となっており、製薬業界としては標準的な水準です。30歳時点での年収は550万円~690万円程度が目安となり、業界他社と比較して競争力のある給与体系といえます。
ツムラの福利厚生
制度・手当 | 内容 |
---|---|
住宅手当 | 借り上げ社宅制度で家賃の75%会社負担(新卒時)、結婚後は50%負担 |
家族手当 | 配偶者・子女に対する手当あり |
退職金制度 | 60歳定年、65歳まで再雇用制度あり |
有給取得率 | 年平均14日取得、積極的な取得推進 |
年間休日 | 127日、完全週休2日制 |
保養所 | 伊豆・軽井沢に保養所完備 |
株式持株会 | 従業員持株会制度あり、奨励金支給 |
健康経営 | 健康経営優良法人2024認定、産業医・保健師によるサポート |
ツムラの福利厚生で特に注目すべきは住宅手当の充実度です。借り上げ社宅制度では、新卒時は家賃の75%を会社が負担し、結婚後も50%の負担を継続するため、実質的な手取り年収は非常に高くなります。年間80万円近い住宅補助を受けられるケースもあり、従業員からは高く評価されています。また、年間休日127日、有給取得率も良好で、ワークライフバランスを重視した働きやすい環境が整備されています。
ツムラの転職難易度は?
ツムラの転職難易度は比較的高めとされています。創業132年の歴史と安定した経営基盤、漢方薬市場での圧倒的なシェアにより、業界内での評価が高く、転職希望者も多いためです。また、競合他社が少なく安定した事業環境であることも、転職難易度を押し上げる要因となっています。
求められる人材像
項目 | 内容 |
---|---|
基本的な人材像 | 高い志と情熱、使命感を持った人材 |
求める資質 | 利他の精神、自立性、プロフェッショナル意識 |
語学力 | 品質保証職は中国語、人事職は英語または中国語 |
専門性 | 製薬業界経験者、MR経験者を優遇 |
新規開拓精神 | 漢方薬という特殊分野での開拓精神 |
ツムラが求める人材は、「高い志と情熱」「自らの使命を果たすことへの喜び」「利他の精神」「自立性」「プロフェッショナル意識」を兼ね備えた人材です。漢方・生薬事業は他に手本のないビジネスでもあるため、新たに開拓する発想力や挑戦精神も重要視されています。
転職成功のポイント
ツムラへの転職成功には以下のポイントが重要です。まず、漢方医学への理解と興味を明確に示すことが必要です。単なる製薬業界への転職ではなく、なぜ漢方薬なのか、なぜツムラなのかを具体的に説明できることが求められます。また、選考プロセスでは書類選考、面接3回程度が一般的で、面接官は人事部と役員クラスが担当します。内定までの期間は1~3ヵ月程度と幅があるため、転職希望時期を事前に伝えることも重要です。中途採用では即戦力が期待されるため、これまでの経験をどう活かせるかを具体的にアピールすることが成功のカギとなります。
まとめ
ツムラの平均年収は806万円と、製薬業界の中でも競争力のある水準を維持しています。特に住宅手当の充実により実質的な手取り額は非常に魅力的で、平均勤続年数17.2年という数字からも従業員満足度の高さが伺えます。漢方薬市場での圧倒的なシェアと132年の歴史による安定した経営基盤は、長期的なキャリア形成を考える上で大きなメリットといえるでしょう。
転職を検討される方は、単なる年収の高さだけでなく、漢方医学という特殊分野でのやりがいや社会貢献度、充実した福利厚生による働きやすさも総合的に評価することをおすすめします。転職難易度は高めですが、明確な志望動機と漢方医学への理解を示すことで、内定獲得の可能性は十分にあります。安定した経営基盤と将来性を兼ね備えたツムラで、充実したキャリアを築いていただければと思います。