「インターンにエントリーしたいけど、エントリーシートって何を書けばいいんだろう」——就活を始めたばかりの時期に、こういう不安を抱える学生はとても多いです。履歴書とは違って正解が見えにくく、最初の一文すら書けずに固まってしまう、という経験をした人もいるのではないでしょうか。
実は、インターンのエントリーシート(ES)には、人事担当者が見ているポイントに一定のパターンがあります。そこを押さえるだけで、書類選考の通過率はぐっと変わってきます。IT・製造・商社と3社の新卒採用を担当してきた経験から言うと、ESで落ちている学生の大半は「能力が低いから」ではなく「伝え方がもったいない」ケースがほとんどです。
この記事では、インターンへのエントリー方法の流れから、ES各項目の書き方と例文、人事担当者が実際に気にしているポイントまでを、採用の裏側を知る立場からまとめました。「エントリーしたいけど何から手をつければいいかわからない」という方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
インターンへのエントリーは「2段階」ある
まず知っておいてほしいのは、インターンシップへの応募は「プレエントリー」と「本エントリー」の2段階に分かれているという点です。この仕組みを知らずに混乱している学生は、毎年一定数います。
プレエントリーとは
プレエントリーは、本エントリーの1つ前の段階です。企業のWebサイトなどを通してプレエントリーすれば、詳しいインターン情報を得たり、資料請求したりできます。 いわば「興味があります」と手を挙げる段階であり、この時点でESの提出は不要な場合がほとんどです。
プレエントリーを済ませると、企業から開催日程や選考フローに関する詳細が届きます。この段階では企業を絞り込みすぎず、興味のある企業には広めにプレエントリーしておくのが得策です。後から詳細を知って「思っていた内容と違った」「こんな企業もあったのか」と気づくことは、就活初期にはよくあります。
本エントリーとES提出
インターンシップの本エントリー時は、エントリーシートの提出を求められることが多くあります。インターンシップに参加するための最初の関門となるので、マナーを守って作成することが大切です。
人気・大手企業のインターンになるほど、この本エントリー時の書類審査が重要になります。 エントリーした学生全員が参加できるインターンシップもあれば、エントリーシートが通過した学生しか参加できないインターンシップもあります。大手や人気企業などは応募者が多く倍率が高いため、書類選考が実施されることが多い傾向にあります。
実際、IT系大手のインターン選考を担当していた頃は、1つのプログラムに対して数十人〜100名を超える応募が来ることもありました。全員と面談する時間は物理的に取れないため、ESの段階でかなりの数を絞らざるを得ない現実があります。
人事担当者がESで見ているポイント|採用担当の本音
ESを書く前に、「人事は何を知りたくてESを読んでいるのか」を理解しておくことが先決です。ここを把握せずに書き始めると、どんなに文章が上手でも的外れな印象を与えてしまいます。
インターンシップの選考担当者へのアンケートの結果、最も回答数が多かったのは「参加意欲が高いか」で、全体の65.2%を占めていました。以降は、「経験やスキルが自社が求める要件にマッチしているか」「人柄やスタンスが自社の社風とフィットしそうか」といった順に続き、半数を超える回答率となっていました。
つまり、まず見られているのは「熱意・参加目的の明確さ」です。華麗な実績や資格よりも、「なぜこのインターンに参加したいのか」が伝わるかどうかが、最初のスクリーニングで大きく影響します。
採用担当が評価する重要なポイントとして、①明確な目的意識、②価値観や就活の軸、③文章力・言語化する力、の3つがあります。 この3つのどれかが欠けていると、どれほど経験が豊富でも選考で弾かれやすくなります。
また、企業は「どの企業にも使い回せるような抽象的な内容ではないか」「その企業の事業内容を調べた上で書かれているか」を確認しています。 人事を3社経験した立場から言うと、「他社にも送ったコピペES」はすぐにわかります。企業名だけ変えた文章や、プログラム内容と全くかみ合っていない志望動機は、どれだけ文章が整っていても評価を下げる原因になります。
ESを書く前にやるべき準備
いきなりESを書き始めるのは、実は非効率です。書く前の「仕込み」がESの質を大きく左右します。
自己分析で「就活の軸」を言語化する
自己分析なしにESを書こうとすると、項目ごとに言っていることが矛盾してしまったり、「自分の強みが何かわからない」という状態になったりします。 過去の決断や行動をもとに自分が何を大切にしているのかという価値観と、これから何をやりたいのか・どんな風になりたいのかという将来の理想とするキャリアを書き出してみましょう。就活の軸を明確にすることで、各質問項目において矛盾が生じず、統一感のあるエントリーシートになります。
「自己分析って何をすればいいの?」と感じる場合は、まず「これまで頑張ったこと」「嬉しかった瞬間」「逆に苦手だったこと」の3点を箇条書きで書き出すところから始めると、自然と自分の傾向が見えてきます。
企業・業界研究を深める
インターンシップに参加するためのESにおいては、「なぜその業界がいいのか」「同じ業界の中でも同業他社ではなくその企業がいい理由は?」といった理由も明確に記載しましょう。業界研究の深さが伝わる文章であれば、熱意も伝わりやすくなり、他の学生との差別化もできるエントリーシートになります。
競合他社との比較も有効です。「A社ではなくB社のインターンに応募した理由」を自分なりに言語化できると、志望動機に具体性と説得力が生まれます。企業のIRや採用ページ、OB訪問などで得た情報を少しでも盛り込むと、他の応募者との差が出やすくなります。
インターンESの頻出項目と書き方のポイント
インターンのESで問われる項目は、企業によって異なりますが、一定の傾向があります。 「志望動機」について聞いている企業が75.3%を占めており、「自己PR」を聞く企業も73.6%と、ほぼ同率です。また「インターンシップ等で学びたいこと」も7割を超え、「学生時代に力を入れて取り組んだこと」も半数以上の企業がエントリーシートの項目にしています。 この4項目を押さえておけば、大半のESには対応できます。
志望動機の書き方
志望動機は、ESのなかで最もコピペがバレやすい項目です。企業ごとに丁寧に書き直す必要があります。
志望動機を書くときは、まず「就活の軸」を記入しましょう。次に「なぜこの企業に魅力を感じたのか」を記入します。そして最後に「インターンで学びたいこと」を添えて、まとめることがポイントです。
書くときの構成イメージはこうです。
- 自分がキャリアで大事にしたいこと(就活の軸)
- その軸とこの企業が重なる点(なぜこの企業か)
- このインターンを通じて何を得たいか(参加後のイメージ)
「御社の〇〇事業に興味があり」で始まる志望動機は非常に多く、それだけでは印象に残りません。「自分のどんな経験・価値観から、この企業のこの部分に惹かれたのか」を具体的に書くと、読み手の頭に残るESになります。
自己PRの書き方
自己PRは「自分の強みをアピールする」ものですが、「頑張り屋です」「コミュニケーション能力があります」のような抽象的な表現では評価されません。
自己PRの鉄則は「強みの名前」→「それを裏付けるエピソード」→「インターンでどう活かせるか」の3段構成で書くことです。
たとえば「課題解決力があります」と書くだけでは弱い。「大学2年のゼミで〇〇という課題に直面し、△△という方法で解決した。この経験から〜という力がついた」という形で、具体的な状況・行動・結果を書くことで、読み手は初めてその強みをリアルに感じられます。
製造業の採用担当をしていた頃、自己PR欄に「体育会系の根性で頑張ります」とだけ書いてあるESを何通も受け取りました。本人の意気込みは伝わるものの、「具体的に何ができるか」が見えないため、書類選考を通過させるのが難しかった現実があります。
ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)の書き方
ガクチカでよくある誤解が「すごい経験がないと書けない」という思い込みです。これは間違いです。 ガクチカは、題材よりも「目標」や「工夫」、「学び」が伝わるかが重要です。数字は無理に盛らず、事実として言える範囲で書きます。
ガクチカでは、経験そのものの「規模」よりも「取り組んだ姿勢」や「学び・成長」が重視されます。 アルバイトでの接客経験でも、サークル活動でも、大切なのは「そこでどう考え、どう動き、何を得たか」です。留学やインターンの経験がなければ書けない、ということは一切ありません。
書く構成の目安はこうです。
- 取り組んだこと・状況の説明(1〜2文で簡潔に)
- 具体的な課題と自分の行動
- その結果と、そこから得た気づき・学び
インターンで学びたいことの書き方
「インターンで学びたいこと」は、本選考のESにはない、インターン特有の設問です。ここが抽象的だと「とりあえずエントリーしてきた学生」と判断されやすくなります。
インターンシップのカリキュラムやプログラムを事前によく読み、どのように成長したいのかを表現することも有効です。 プログラムの内容を把握したうえで「このインターンでは〇〇を体験できると理解しています。そこで〜という力を身につけ、将来〜に活かしたい」と具体的に書けると、準備量と本気度が伝わります。
ES作成時の注意点|人事担当が実際に気にするポイント
書き方のポイントを押さえたうえで、提出前に必ずチェックしてほしい注意点があります。採用担当として数百通のESを読んできた経験から、特に気になった点を挙げます。
基本情報の正確さは必須
基本情報は、正確性がもっとも重要となります。氏名、生年月日、現住所、連絡先などを漏れなく記載し、誤字脱字や記載ミスがないよう細心の注意を払いましょう。基本情報に関するミスは企業に悪い印象を与えてしまう可能性があります。
見落としがちなポイントとして、日付の表記統一があります。 エントリーシートに記入する日付は、郵送する際は投函日、Web上で出す場合は提出日を記載します。年表示は西暦と元号のどちらでもよいですが、エントリーシート内で統一しましょう。 西暦と和暦が混在しているESは、細部への配慮が伝わらず印象を下げます。
使い回しは禁物、企業ごとにカスタマイズを
商社の採用担当をしていたとき、「御社のものづくりへの情熱に共感しました」という文章が届いたことがありました。当然ながら商社はものづくりをしている会社ではありません。別の会社に送った文章をそのまま持ってきたのは明らかで、その時点で選考から外さざるを得ませんでした。
夏に参加したインターンシップのエントリーシートを冬の別の企業に使う場合も、軸となる経験は共通で構いません。しかし、企業によってプログラム内容も異なります。まったく同じ文章を使い回すのではなく、今の自分の考えや、応募先の企業理解に合わせてブラッシュアップすることをおすすめします。
結論から書く癖をつける
結論先行を意識しましょう。そうすることで、読み手となる採用担当者があなたの文章内容を理解しやすくなります。 人事担当者は1日に何十通ものESを読むことがあります。最初の一文で「何が言いたいか」が伝わらないESは、後半まで丁寧に読んでもらえないリスクがあります。
「私は〇〇という強みがあります(結論)→なぜなら△△という経験があるからです(理由)→具体的には〜(エピソード)→この強みをインターンで〜に活かしたい(締め)」という流れを意識すると、採用担当者にとって読みやすいESになります。
字数制限ギリギリを目指す
「文章が長いと読まれないかも」と思って短くまとめてしまう学生がいますが、これはもったいない判断です。字数制限は「ここまで書いてOK」というサインであり、余白が多いESは「準備が足りない」と受け取られやすくなります。文字数は指定の8〜9割以上を使い切ることを意識してください。
郵送・Web提出のマナー
内容が良くても、提出時のマナーが崩れていると第一印象に傷がつきます。Web提出が主流になった今でも、郵送を求める企業は存在します。
郵送の場合は、封筒は白色で書類を折らずに入れられるサイズにすることが求められます。A4サイズのエントリーシートを折らずに入れられる「角2サイズ」がおすすめです。 茶封筒を使うと他の書類に紛れてしまうリスクがあるため、白封筒を使いましょう。
Web提出の場合は、PDFのファイル名を「ES_氏名_大学名.pdf」のように整えて提出するのが望ましいです。 メールにエントリーシートを添付する場合は、わかりやすい件名を設定して採用担当者の負担を下げるようにしましょう。件名は「エントリーシートの送付(〇〇大学理工学部 〇〇〇〇)」のようにするとわかりやすくなります。
インターン選考に落ちた場合の考え方
どれだけ丁寧にESを書いても、選考に通らない場合はあります。これは就活の現実として受け入れてほしいのですが、インターン落選イコール本選考不利というわけではありません。
インターンシップの選考に落ちたからといって、本選考で必ず不利になるわけではありません。インターンシップは募集枠が非常に少ないケースも多く、運やタイミングの要素も絡みます。また、インターンシップと本選考の採用基準が異なることもあります。
インターン選考のESは、本選考に向けたESの練習台でもあります。落ちたESを振り返り、「どの部分が伝わりにくかったか」「企業研究が足りていなかったか」を自己分析の材料にすることで、次のESの精度が上がります。複数社のインターンに応募しながらESの精度を高めていく姿勢が、就活全体のレベルアップにつながります。
就活のステップアップに向けて
インターンのESをきっかけに就活を本格的に動かし始めたなら、並行して「自分の市場価値」や「本選考に向けた動き方」も整理しておくと安心です。特に第二新卒・既卒として就活を進める場合や、インターン後のキャリア相談を考えている場合は、就活エージェントの活用も選択肢に入れておきましょう。

まとめ|インターンのエントリーシートで押さえるべきこと
インターンのESは「能力を証明する書類」ではなく、「目的意識と人柄を伝える書類」です。華麗な実績がなくても、準備と伝え方の工夫で十分に選考を通過できます。最初の1通を書き上げることが、就活の大きな第一歩になります。
- インターンのエントリーは「プレエントリー」と「本エントリー」の2段階があり、書類選考はおもに本エントリー時に行われる
- 人事担当者がESで最も重視するのは「参加意欲の高さ」と「目的の明確さ」で、使い回しのコピペESはすぐに見抜かれる
- 志望動機・自己PR・ガクチカの3項目は「就活の軸→具体的エピソード→インターンへの接続」の構成で書くと伝わりやすい
- 結論から書く「結論先行」を意識し、字数制限の8〜9割以上を使い切ることを目指す
- 選考に落ちた場合も本選考への直接的な影響はなく、ESを見直す材料として次に活かすことが重要


