新卒面接を受ける際、どんな質問を聞かれるのだろうと不安を感じ、受かるためにどんな質問が来るのか事前に調べて対策を立てておきたい、と思う方が多いのではないでしょうか?
この記事では、新卒面接を控えた大学生の方に向けて、面接時に頻出する質問の意図と、受かる回答の作り方について解説していきます。
この記事を読み終えるころには、面接時に聞かれる質問の本質を理解し、的確に回答できるようになることで、自信を持って面接に臨めるようになります。
新卒面接で聞かれることや、良い回答とは
面接で、採用担当者から聞かれる質問内容には一定の傾向があるため、良い回答も同様に一定の傾向があります。
企業は利益を上げるために存在し、採用担当者は企業に所属しています。そのため、採用担当者が就活生に質問して得た回答をもとに、誰を入社させれば企業の利益を最大化させられそうなのかを判断しています。
そのため良い回答を返すには、採用担当者の意図をくみ取りつつ、自分が入社することでメリットが得られることを示す必要があります。
新卒面接における質問の意図や、採用担当者が知りたいことは何か?
新卒面接時における、採用担当者の質問意図や知りたいことは以下の通りです。
- 企業が求める人物像にマッチしているか
- 入社後、長く活躍してくれそうか
質問の意図を理解することで、どのような回答をすれば良いのかが見えてきますので、詳しく解説していきます。
企業が求める人物像にマッチしているか
多様な質問を投げかけることで、人柄や熱意、性格や適性などを把握し、企業が求める人物像にマッチしているか(自社の社風に合うか、何のポジションなら活躍してくれそうか)を見ています。
なぜなら、就活生の人柄が会社の社風と合わなかったり、職場の上司や同僚と上手くコミュニケーションが取れなかったりなどのミスマッチな採用を避けたいからです。
たとえば、自分がやりたくて入社したバイトの職場で、気の合う同僚や上司と気持ちよく働けたら大変でも頑張れます。一方で、自分がやりたくもないのに入社したバイトの職場で、気の合わない同僚や上司と働くのは苦痛で頑張りづらいですよね。
入社後、長く活躍してくれそうか
また、入社後に長く活躍してくれそうかも見ています。なぜなら、企業が就活生の採用や育成に割けるコスト(お金や時間)には限りがあります。また、企業の目的は利益を上げることですが、入社後に短期間で退職されてしまうと、今まで掛けてきたコストが水の泡となり、利益として回収することができず損失になってしまうからです。
たとえば、あなたがA社の株を投資として1万円分買った(掛けたコスト)とします。その後、A社が倒産(退職)して株の値段が0円(損失)になってしまったら嫌ですよね。
通過率を高める回答を作るために必要な準備
採用担当者の質問意図を踏まえた上で、面接の通過率を高める回答の作成に必要な準備は、以下の通りです。
- ①自己分析をして自己理解を深める
- ②志望業界・企業を研究する
- ③企業の面接傾向を把握しておく
①自己分析をして自己理解を深める
自己分析をして自己理解が深まると、採用担当者の質問へ的確な回答を作るための材料集めに繋がります。自己理解が深まると、どんなことでモチベーションが上がるのか、譲れない自分の価値観(就活の軸)は何なのか見えてきます。
譲れない自分の価値観が見えてくると自分の特徴が明確になるため、判明した特徴を活かして志望企業の求める人物像や、どんな活躍が期待できるのかに結びつけてアピールできるようになるからです。
モチベーションが上がる時の見つけ方(モチベーショングラフ)や、譲れない価値観(就活の軸)の見つけ方については、以下の記事が参考になるので、ぜひご確認ください。
②志望業界・企業を研究する
自分が就職を希望する業界や企業の研究は必須です。なぜなら、業界や業務内容、経営理念、社風、同業他社との違いや特徴がわからないと、自分の譲れない価値観(就活の軸)や特徴を活かしてどのように企業へ貢献できるのか、アピールするポイント(接点)がわからないからです。
たとえば、自分はサッカーが好きで、町内大会で優勝するために強いチームを作ろうとしているとします。チームに誘うメンバーを集める際に経験者が独りもいなかったとして、それでも選ばなけれならない場合、少なくとも100メートル走が早い人や、サッカーに対して強い興味や情熱を持ち、将来的に活躍する見込みのある人たちを選びますよね。同様のことを採用担当者も考えているのです。
志望業界の研究で調べた方がよい項目は次の通りです。
- 業界の最新の動向
- 業界に関わる職種
- 代表的な企業の特徴
- どうやって利益を生み出しているか(ビジネスモデル)
企業研究で調べた方がよい項目は以下の通りです。
- 社長の名前、メッセージ
- 経営理念
- 社風
- 事業内容
- 職種ごとの業務内容
- 求める人物像
- 待遇(給与や年間休日数、有給消化率など)
③企業の面接傾向を把握しておく
志望企業ごとに面接の傾向を把握しておくと、突飛な質問をされても自信を持って良い回答ができる可能性が高まります。新卒面接で質問される内容はどの業界や企業でもある程度は似ていますが、まったく同じということはなく、企業ごとに内容や傾向は異なるからです。
企業ごとの面接傾向を把握するのに便利な、就活の口コミサイトは次の通りです。
新卒面接でよく聞かれる質問集11選の意図と回答のコツ
ここでご紹介する頻出質問11選の意図はすべて、採用担当者が最も気にかけている以下2点のどちらか、あるいは両方に当てはまります。
- 企業が求める人物像にマッチしているか
- 入社後、長く活躍してくれそうか
新卒面接でよく聞かれる質問や意図について、回答のコツと併せて詳しく解説します。
卒業研究の内容を(わかりやすく)教えてください
就職する仕事と就活生の専攻分野が近い場合、卒業研究の内容を詳しく知ることで、求める人物像にマッチしているか、長く活躍してくれそうかを見ています。
回答のコツは次の通りです。
- 採用担当者が研究内容に詳しくない場合もあるため、難しい専門用語は避ける
- 中学生が聞いても理解できる内容に、噛み砕いて伝える
あなたは周囲からどんな人だと言われますか
就活生のスキルや経験を客観的な第三者の視点から詳しく知ることで、求める人物像にマッチしているか、長く活躍してくれそうかを見ています。
- 自己PRの一種として捉え、自分の強みをアピールできる切り口の主張とエピソード伝える
- 企業に入社したら、活躍してくれそうだなと思ってもらえそうなエピソードを伝える
今までで経験したことの中から、一番嬉しかったことを教えてください
就活生が一番嬉しかったポイントを知ることで、同じような喜びややりがいを感じながら自社で働き、長く活躍してくれそうかを見ています。
回答のコツは次の通りです。
- 努力して報われた時、どのようなことが嬉しかったのかエピソードを伝える
- 「宝くじが当たって嬉しかった」のような、偶然の出来事でうれしいと感じたエピソードは控える
自分の希望や意見が通らなかった時、どのように行動しましたか
仕事では思い通りに行かないことが多く、そうなった時に投げ出さず、前に進むための行動や判断ができるか(長く活躍してくれそうか)を見ています。
回答のコツは次の通りです。
- 思い通りに行かなかったけれども、乗り越えたエピソードを伝える
- 自己PRやガクチカ(学生時代に力を入れたこと)の話を再度使ってもよい
応募した職種はどんな仕事だとお考えですか
仕事への理解度を測ることで、求める人物像にマッチした人材なのか、ミスマッチが起きる心配がないかを見ています。
回答のコツは次の通りです。
- 仕事の理想とする表の部分だけでなく、裏側にある仕事の大変さも理解していることを伝える
- 仕事への理解度が高いことをアピールすることで、採用担当者のミスマッチの心配を解消できる
他社の選考状況はどうなっていますか
どの企業を受けているのか競合調査をしています。また、受けた企業の業界や職種と、就活の軸(譲れない自分の価値観)にズレがないか把握して、企業が求める人物像にマッチしているか、長く活躍してくれそうかを見ています。
回答のコツは次の通りです。
- 就活の軸(譲れない自分の価値観)と受けている企業に、一貫性がある回答を心がける
- 内定や通過途中の選考結果があれば伝える。競合他社が欲しがる人材であることをアピールできれば、通過率を上げられる。
応募した職種で一番大切なことは何だと思いますか
仕事への理解度を測ることで、求める人物像にマッチした人材なのか、ミスマッチが起きる心配がないかを見ています。
回答のコツは次の通りです。
- その仕事の裏側ならではの大変なところを挙げる
- 挙げた大変なことに対して、どのように向き合ったり乗り越えたりして行くのが、成果を出すために重要であるかを伝える
入社後にやってみたい仕事を教えてください
入社後にやってみたい仕事を聞くことで、企業から提示できる職種やポジション(求める人物像)とのミスマッチが起きる心配はないかを見ています。
回答のコツは次の通りです。
- 「絶対にこの事業部のこの仕事がやりたいです」といったような、企業と自分がマッチできる範囲を狭める回答は控える(通過率が下がるのを防ぐ)
- 複数の事業部(職種やポジション)に当てはまる抽象的な表現を用いる
将来どのような仕事や働き方をしたいですか
将来どのような仕事や働き方をしたいか(キャリアプラン)を知ることで、会社で長く活躍してくれそうかを見ています。入社後、長期的に働いてもらえるイメージが持てないと、長期育成を視野に入れて、社員へ投資した研修費用や時間などが無駄になってしまうからです。
回答のコツは次の通りです。
- 会社の業務内容と自分のやりたいことが、重なっているところまでの将来像を伝える
- 将来、独立して起業したい場合は、会社を辞める直前までの将来像を伝える
最近の気になるニュースを教えてください
最近の気になるニュースを聞くことで、面接を受けてる業界や仕事について本当に興味があるのかを見ています。本当に興味があれば、日常的にアンテナを貼ってる情報を集めますよね。
回答のコツは次の通りです。
- 自分が受ける企業の業界に関連するニュースを伝える
- それだけで、ただ「興味」があります、「やりたいです」と言う人よりも説得力のある回答になり、差別化できる
苦手なタイプの人はいますか
学校と違って、会社では一緒に働くチームや人を選ぶことはできません。仮に配属された部署で苦手なタイプの上司や同僚がいたとしても、求められている成果をしっかり上げる取り組みができる人(求める人物像)なのかを見ています。
回答のコツは次の通りです。
- 自分が対処できる範囲の苦手なタイプの人を挙げる
- 苦手なタイプに対して過去どのように対処してきたか具体的に伝える
- 自分が乗り越えられないレベルの苦手なタイプは、回答しづらくなるので除外する
面接の回答で印象を上げるコツ
①相手の顔を見てハキハキ話す
採用担当者の質問に回答する内容も大事ですが、同じくらい相手の顔を見ながら堂々とした態度や、ハキハキした話し方をするのが重要です。なぜなら、人の印象の良し悪しは「メラビアンの法則」に左右されやすいからです。メラビアンの法則とは以下の3つの要素で構成されています。
相手が情報を得るポイント | 具体例 | 相手に与える影響 |
言語情報 | 会話の内容 | 7% |
聴覚情報 | 声のトーン、声量 | 38% |
視覚情報 | 表情、しぐさ、見た目 | 55% |
つまり、視覚・聴覚の情報をより良くすることで、相手が好印象を抱きやすくなります。たとえば、相手の顔を見ながら堂々とした態度で、声量大きくハキハキ話すAさんと、相手の顔を見ずおどおどとした態度で、声量小さくくボソボソ話すBさんでは、どちらが信頼できそうか言うまでもないですよね。
②結論ファーストのPREP法で伝える
ビジネスシーンでは簡潔でわかりやすい説明が求められるため、結論を最初に伝えることが重要です。また、相手に説得力のある話をするための方法として、PREP(プレップ)法が効果的です。以下の頭文字を取ってPREP法と呼ばれるようになりました。
- Point:結論
- Reason:理由
- Example:具体例
- Point:再び結論
1〜4の順で物事を伝えることにより、わかりやすくて説得力のある話し方ができます。例文は以下の通りです。
- 私が最近気になったのはAI関連のニュースです。(結論)
- なぜなら、AIの発達が今までの仕事のあり方を根本から変えるインパクトがあると聞いたからです。(理由)
- たとえば、AIがメールの文章作成を代替してくれるようになり、浮いた時間で別の業務をこなして、より生産性を高められます。(具体例)
- したがって、私が最近気になったのはAI関連のニュースです。(再び結論)
③なるべく数字や客観的な事実を伝える
よい回答をするためには、なるべく数字や客観的な事実を伝えるのが効果的です。数字を使うと話が具体的になって説得力が増し、相手の信頼感が高まるからです。また、誰かに言われた客観的な言葉や、具体的なエピソードを取りいれることで、主観的で独りよがりな主張を述べるのを防げます。
たとえば、「私は真面目な性格です」と言うよりも、「私は両親や3人の友人から、いつも真面目な性格だとよく言われます」と述べた方が信ぴょう性が増します。
④一貫性のある回答内容を心がける
一貫性のある回答内容になるよう意識して話すことで信頼感が増します。なぜなら、一貫性のない回答をしてしまうと、話の矛盾が気になり、取り繕ったり嘘をついたりしているのではないかと疑われてしまうからです。
回答の一貫性を保つコツは、自分の素直な考えを伝えるようにすることです。そうすれば自然に一貫性が生まれます。
面接で回答に困ったときの対処法
準備をして面接に臨んだものの、緊張から頭が真っ白になって回答内容が出てこなかったり、想定外の質問により焦ったりすることがあるかもしれません。
そのような場合を想定した、回答に困った時の対処方法は以下の通りです。
- 考える時間をもらい、黙り込むのを避ける
- 完璧を求めず、素直な考えを述べる
考える時間をもらい、黙り込むのを避ける
質問の回答がすぐ出てこない場合は、黙り込まず「申しわけありません、少し考えを整理するお時間を頂けないでしょうか?」と伝えましょう。なぜなら、仕事で予想外のトラブルが発生した時に対処できそうかを見ているからです。
たとえば、職場で業務中にわからないことが発生した際、1人で長時間抱え込んで時間を浪費するAさんと、わからなくても短時間で切り上げて上司に相談できるBさんのどちらが、会社に貢献してくれそうかは明白です。
完璧を求めず、素直な考えを述べる
質問に対して完璧な答えがわからなくても、自分で考えた素直な意見を述べましょう。採用担当者の方が仕事における知識や経験は深いので、完璧な答えを求めているわけではありません。
ビジネスシーンでは絶対の正解がない事も多々あり、自分で仮説を立てて行動していくことが求められます。同様に就活生がわからないなりに仮説を立てて、自分の考えを述べられるか姿勢や過程を見ているのです。
たとえば、自分が入社直後に任された業務でわからないことがあり上司や先輩に相談する場合、ただ「わかりません」と言うよりも「私はAだと思うのですが、先輩はどう思われますか?」と聞いた方が印象は良くなり、答え合わせをすることで自身の成長に繋がります。
まとめ
面接における質問の意図や、通過率を上げる回答のコツ、いざという時のリカバリー方法について詳しく解説してきました。
ご紹介した内容をいきなり完璧にはこなせなくても、1つずつ実行していけば通過率を少しづつ上げていけますので、試してみてください。
準備が万全でなかったとしても、面接を受ける度にクリアすべき課題が見え、改善していくことで志望企業の内定を勝ち取りやすくなります。