「OB訪問って、何を聞けばいいんだろう」と、当日が近づくにつれて焦りを感じていませんか。質問リストを用意しようとしても、「ありきたりな内容になってしまわないか」「失礼な聞き方をしないか」と不安が膨らんでしまうのも無理はありません。
実は、OB訪問で得られる収穫の大きさは、事前の質問準備でほぼ決まります。逆に言えば、しっかり準備さえすれば、どんな就活生でも先輩社員から本音の情報を引き出せるということです。
この記事では、目的別の質問例を網羅しながら、「深い回答を引き出す聞き方のコツ」や「避けるべきNG質問」まで整理します。訪問当日に自信を持って臨むための実践的なガイドとして、ぜひ最後まで活用してください。
OB訪問で質問を準備する前に知っておきたいこと
「なんとなくOB訪問に行ってみよう」という姿勢では、得られる情報が表面的なものにとどまりがちです。まず、なぜ質問の事前準備が重要なのかを押さえておきましょう。
OB訪問が就活に与える影響は想像以上に大きい
会社説明会やインターンからも企業の実態は把握できますが、こうしたイベントでは自社の良い点ばかりをアピールされがちです。入社後のミスマッチを避けるためにも、実際のところはどうなのかをOB・OG訪問を通してしっかりと確認しておくことが大切です。
マイナビの「2025年卒 学生就職モニター調査」によれば、OB・OG訪問で特に得られた物がなかったという学生は約3%にとどまり、25卒の学生は平均して約5.1人の社会人にOB・OG訪問をしていました。 つまり、大多数の就活生がOB訪問から何らかの収穫を得ており、複数回重ねるのが一般的な水準といえます。
「選考の一部」として見られることもある
OB・OG訪問を選考の一環と捉えている企業があります。その場合、訪問を受ける社員は、学生からの質問でビジネスセンスや志望度を評価しています。そのため、質問を用意せずに訪問をすると、失敗して選考が不利になることも考えられます。
「まあ何か聞けばいいか」という準備不足は、本来なら味方になってくれるはずのOBを失望させかねません。せっかくのチャンスを無駄にしないためにも、質問リストの事前整理は必須です。
質問を準備する前の3つの確認
OB訪問の質問を考える際に確認しておきたいことが3つあります。自分が将来どのように働きたいかを考えること、業界・企業研究を進める中で調べても分からなかったことを書き出すこと、そして福利厚生や社内制度について疑問に思うことをチェックしておくことです。
この3つを事前に整理するだけで、「何を聞けばよいか分からない」という状況から抜け出せます。自分の疑問が明確になると、自然と「深い質問」が生まれてきます。
目的別|OB訪問で使える質問例リスト
OB訪問の質問は、自分が今どの段階にいるかによって変わります。「業界をまだ絞れていない段階」「志望企業は決まったがリアルな内情を知りたい段階」「選考対策を強化したい段階」では、それぞれ聞くべき内容が異なります。以下に目的別で整理しましたので、自分の状況に合うカテゴリーから取り入れてみてください。
就活の進め方・軸を探りたいとき
まだ業界や職種を絞り切れていない段階での訪問では、先輩の就活体験談から「選び方の軸」を学ぶことが最優先です。 先輩がどのような探し方をして、その会社を見つけ、どのような観点で他社と比べて最終的に決めたのかを聞くことで、企業の探し方や絞り方の参考になりますし、その企業を理解することにもつながります。
- 就活を始めた時点での業界の絞り方を教えてください
- 就職活動をしていた際の企業選びの軸を教えてください
- 業界研究・企業研究ではどのようなポイントに着目していましたか
- 自己分析はどのように進めましたか。特に役立った方法があれば教えてください
- 就活を終えてみて、これをやっておけばよかったと思うことがあれば教えてください
- 今の仕事を選んで、入社前と入社後でギャップを感じたことはありましたか
「就活の進め方がわからない」という段階でのOB訪問は、むしろ大きな収穫が期待できます。先輩の失敗談やまわり道まで聞けると、自分のロードマップを描く上で非常に参考になります。
仕事の実態・職場環境を知りたいとき
ある程度志望先が絞れてきたら、企業のホームページや説明会では絶対に分からない「実際の職場感」を引き出す質問が有効です。 OB・OG訪問は、企業説明会で公にしていない、よりディープな情報を得られることが最大のメリットです。調べればわかるような表面的な質問から一歩踏み込んで聞いてみることをお勧めします。
- 1日のスケジュールを具体的に教えていただけますか
- HPには平均残業時間が〇〇時間とありますが、実態はいかがでしょうか
- 職場の雰囲気を率直に教えてください。良い点と、覚悟しておいた方がいい点があれば
- リモートワーク可とのことですが、実際どの程度の割合で出社していますか
- 転勤・異動はどのくらいの頻度でありますか
- 入社後のキャリアパスで、一般的にはどのようなルートが多いですか
- 将来のキャリアプランを立てやすい環境かどうか、先輩の視点で教えてください
特に残業時間や転勤頻度は、公式発表と実態が乖離しやすいテーマです。数字をそのまま信じるのではなく、OBに「実感として」を添えて確認するのが賢明です。
選考対策・ES・面接を強化したいとき
面接やESの仕上げ段階でOB訪問をする場合は、できれば事前に「選考対策の相談をしたい」と目的を明示してからアポイントを取ることをおすすめします。 選考対策を希望する場合は、事前に「選考対策を手伝って欲しい」ことを社会人に伝えておきましょう。
- 面接ではどのようなことを聞かれましたか。差し支えなければ、各選考フローを教えていただきたいです
- 御社のESで特に重要視されるポイントを教えてください
- 内定を承諾する際、どんな業界・企業と迷いましたか。御社を選ばれた決め手はなんでしたか
- 私の第一印象で、何か気になった点があればお伺いしたいです
- OB訪問を通じて、私が改善した方がいいと感じた点はありますか
- 御社のサービス・製品が競合他社と比較して優れている点はどこですか
「私の第一印象で〜」という質問は、慣れていないと踏み出しにくいかもしれません。しかし、こちらの姿勢と熱量を評価してもらうきっかけにもなり得る質問です。もちろん、受け取ったフィードバックを真摯に受け止める姿勢が前提になります。
キャリアや成長について深く聞きたいとき
入社後の自分の姿を具体的にイメージするために、先輩自身の成長過程やキャリア観を聞く質問も非常に有効です。 社会人になってからどうやって成長していくのかが知りたい人には、自分磨きや自己投資について聞くことがおすすめです。特に入社後3〜5年後の姿まではっきりと思い浮かべられている場合に有効です。
- 入社後にもっとも成長を感じたのはどんな場面でしたか
- 学生時代に経験したことは、入社後どのような場面で活きていますか
- 自身の成長のために、今どんな自己投資をしていますか
- 入社までにやっておいた方がいいことを教えてください
- もし就活生の自分に戻れるとしたら、どんな軸で企業を選びますか
- 業界の課題や将来性についてどのように見ていますか
深い回答を引き出す質問の組み立て方
「良い質問例」を持っていても、聞き方が一本調子になると会話が広がりません。ここでは、表面的なやりとりで終わらせないための「質問の組み立て方」を紹介します。
「仮説+質問」でOBを驚かせる
深い内容の回答を得るために、質問の回答に対して予想される回答を考えるといったように「自分なりの仮説」を立てておくことが重要です。自分なりの仮説を添えて質問することで、足りていなかった情報や考え方を取り入れられ、より深い情報収集ができます。
たとえば、「残業は多いですか?」という質問より、「事業成長フェーズだと伺っていますので、残業時間は月40〜50時間程度あるのかと想像しているのですが、実際はいかがでしょうか」の方が会話として格段に深まります。OBも「ちゃんと調べてきている学生だな」と感じ、より本音を話してくれやすくなるものです。
メモを取る姿勢はマナーでもある
会話内容すべてを覚えていることは難しいため、訪問中はメモを取りながら話を聞くことをおすすめします。メモを取る際は「会話内容のメモを取ってもよろしいでしょうか」と一声かけ、印象に残った単語や数字を意識的に記し、OB・OG訪問時に感じたことも書き留めておきましょう。ただし、メモを意識しすぎて会話をおろそかにしないよう注意してください。
メモを取ることに加え、「一番印象に残った話」を終了後のお礼メールに一文添えると、OBに誠実さが伝わり、次の相談につながりやすくなります。
質問の優先順位をあらかじめ決めておく
OB訪問は先輩社員が忙しい時間を割いてくれているため、質問できる数にも限りがあります。「本当に聞きたいことが聞けなかった」「どうでもいいことばかり話してしまい時間が足りなかった」ということがないように、事前に質問に優先順位をつけておきましょう。
一般的にOB訪問の時間は60〜90分程度です。質問を10〜15個用意したとしても、実際に聞けるのは6〜8個程度と考えておきましょう。「絶対聞く質問」「聞けたら聞く質問」の2段階に分けておくと、時間が足りなくなっても後悔しません。
OB訪問で避けるべきNG質問と注意点
質問内容によっては、せっかくの訪問で印象を下げてしまうことがあります。よくある失敗パターンを事前に知っておくだけで、リスクを大幅に減らせます。
「調べれば分かること」を聞くのはNG
企業のホームページやリクナビなどで調べればすぐにわかるようなことを聞かないことが大切です。限られた時間内でのOB・OG訪問を有意義なものにするためにも、先輩に聞かないとわからないことや、先輩の意見や感想などを中心に聞くようにしましょう。
「御社の事業内容を教えてください」「従業員数は何人ですか」といった質問は、事前調査なしで来た印象を与えます。逆に言えば、公式情報を踏まえた上で「実態との差を確認する質問」にすると、リサーチ力と志望度の高さを同時にアピールできます。
ネガティブな質問は角度を変えて聞く
「ネガティブな質問」の例として、離職率や早期退職を問うものなどが挙げられます。会社の実態を理解することで入社後のミスマッチを防ぐメリットはありますが、ネガティブな質問をすることで「本当に当社への入社志望があるのか?」と訪問相手からの印象を下げてしまう恐れがあります。
たとえば「離職率はどのくらいですか」という直球の質問より、「長く活躍されている方はどんな特徴がありますか」という聞き方の方が同じ情報をポジティブな文脈で引き出せます。聞きたい内容を変えずに、「聞き方」を工夫することが大切です。
プライベート・給与への過度な踏み込みは避ける
休日の過ごし方などのプライベートにかかわることや、給料、仕事で一番大変だったことなどのデリケートな質問をする際には注意が必要です。 「差し支えなければ」と一言添える、あるいは「業界全体としての傾向」として聞くなど、相手に選択肢を与える聞き方にしましょう。
OB訪問後にやること|お礼メールの送り方
OB訪問は、当日で完結させないことが大切です。 OB訪問が終わったら、必ずお礼の連絡をすることが基本マナーです。忙しい中時間を作ってもらい、ためになる話をしていただいたことなどに対し、きちんとお礼を伝えます。連絡はメールで構いません。
お礼メールは訪問当日か翌日中に送るのが理想的です。遅れるほど印象が薄れ、「丁寧な人だ」という評価を得る機会を逃します。内容は長くなくてかまいません。以下の3点を盛り込む構成が簡潔で伝わりやすいです。
- お礼と自己紹介(件名に「〇〇大学〇〇と申します。先日のOB訪問のお礼」)
- 特に印象に残ったエピソードや発言に触れる(1〜2文で具体的に)
- 今後への抱負と今後ご縁があれば連絡させてほしい旨
「特に印象に残ったエピソードに触れる」という部分が最も重要です。ここが「コピペメールではない」ことを示す唯一の証拠になるからです。メモを見ながら書くと、この部分がしっかり具体的になります。
編集部の視点|「深い質問」ができる学生と「そうでない学生」の差
IT・コンサル業界で就活経験者と多く接してきた編集部の視点から、OB訪問で際立って印象に残る学生のパターンをお伝えします。
印象に残る学生に共通しているのは、「相手の話を聞いてから質問を深掘りできる」という点です。あらかじめ用意した質問をただこなすのではなく、OBの回答を受けて「それは〇〇という意味でしょうか、具体的には〜」と一歩踏み込む学生は明らかに頭に残ります。
逆に残念なのは、質問リストを上から順に読み上げるだけの学生です。同じ質問例を使っていても、「その場で生まれた問い」と「事前に作ったリストの消化」では、OBに与える印象が全く違います。質問例はあくまで「会話のきっかけ」です。当日は台本ではなく「対話のたたき台」として使ってください。
もう一つ、多くの就活生が見落としがちな点があります。それは「仮説を持って訪問する」ことの重さです。事前に業界レポートや企業のIR資料に目を通し、「〇〇という課題があると感じているのですが、現場ではどう捉えていますか」と持ち込めると、OBの表情が変わります。「こんな学生、初めてだ」という反応をもらえることもあります。
よくある疑問に答えます
OB訪問に関して、多くの就活生が共通して抱く疑問をQ&A形式でまとめました。
OB訪問は何回すれば十分ですか
OB・OG訪問は一度きりではなく、複数回行うのが一般的です。25卒の学生は平均して約5.1人の社会人にOB・OG訪問をしていました。 ただし「数をこなす」より「質の高い訪問を重ねる」方が重要です。1社あたり同じ職種の方と1〜2回、複数の職種や部署の方にも1回ずつ話を聞けると、企業理解が立体的になります。
質問リストを事前に送ってもいいですか
OB・OG訪問前の質問リストの送付は、OBが事前に準備をしやすくなるという意味で有益です。 ただし、送る場合は「当日の質問をすべてリスト化したもの」ではなく、「主に聞かせていただきたいテーマ」を3〜5点程度に絞ってまとめるとスマートです。話が一方的にならず、OBも事前に考えた上で深い回答をしやすくなります。
志望企業のOBが見つからない場合はどうすればいいですか
OB・OG訪問は、大学の先輩や知り合いに紹介してもらったり、就活イベントを活用して社員と接点を持ったりすることで機会を作れます。 また、MatcherやビズリーチキャンパスのようなOB訪問専用アプリも広く使われています。在学校OBにこだわらず、同じ業界・職種で働く社会人にアクセスできるため、大学のネットワークが薄い場合でも活用できます。
OB訪問のベストなタイミングはいつですか
卒業前年度の秋から冬にかけては、OB・OGの方々も比較的余裕がある時期のため、訪問のスケジュール調整がしやすいという利点があります。早め早めに動くのが吉でしょう。 ただし、就活が本格化した後でも「選考対策目的」での訪問は有効です。自分の就活フェーズに合わせて、目的を決めてから動くことが大切です。
就活で悩んだら、エージェントに相談してみよう
OB訪問で情報を集めながら、並行して就活エージェントを活用することも有効な手段です。特に「志望業界を広げたい」「選考対策を一緒に考えてほしい」という段階では、エージェントのサポートがOB訪問で得た情報をさらに活かしやすくします。無料で相談できるため、まず話を聞いてみるだけでも自分の方向性が整理されることがあります。

まとめ|OB訪問の質問例を活かして本音の情報を手に入れよう
OB訪問は「何となく先輩に会いに行く場」ではなく、就活の中でも有数の「情報収集と自己PR」の機会です。質問の質を高めることで、その場の充実度は大きく変わります。
- OB訪問の前には「自分の就活フェーズ」に合った目的別の質問を用意する
- 「調べれば分かる質問」は避け、公式情報を踏まえた上で「実態を確認する質問」にする
- 質問には「自分なりの仮説」を添えると、会話が深まり評価も上がる
- ネガティブな内容は角度を変えて、印象を下げずに必要な情報を引き出す
- 訪問後は当日か翌日中にお礼メールを送り、具体的なエピソードを一文添える
次の一歩として、まず自分の「絶対に聞きたい質問トップ5」を書き出してみてください。それだけで、OB訪問への準備は大きく前進します。


