アコム株式会社(以下、アコム)は、三菱UFJフィナンシャル・グループ傘下の消費者金融会社として、個人向けカードローンや信用保証事業を主力とする金融サービス企業です。1936年の創業から約90年の歴史を持ち、現在は業界トップクラスの地位を確立しています。
本記事では、アコムで働く際の年収について、有価証券報告書に基づく最新データを用いて詳しく解説します。平均年収の推移、同業他社との比較、役職別・年齢別の年収データ、福利厚生、転職難易度まで、転職を検討される方に役立つ情報を包括的にお伝えします。
アコムの会社概要
アコムは、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の中核企業として、個人向け金融サービスを提供する消費者金融会社です。1936年に神戸で「丸糸呉服店」として創業し、1978年にアコム株式会社を設立、現在は東証スタンダード市場に上場しています。社名の「ACOM」は、Affection(愛情)、Confidence(信頼)、Moderation(節度)の頭文字から命名されており、人間尊重の精神とお客さま第一主義を企業理念としています。
アコムの基本情報
項目 | 詳細 |
---|---|
会社名 | アコム株式会社(ACOM CO., LTD.) |
本社所在地 | 東京都港区東新橋1-9-1 東京汐留ビルディング |
設立年 | 1978年 |
業種 | 消費者金融業・信用保証業 |
事業内容 | ローン事業、クレジットカード事業、信用保証事業 |
上場市場 | 東証スタンダード市場(証券コード:8572) |
アコムの事業は主に4つの分野で構成されています。ローン・クレジットカード事業では、個人向けカードローン「アコム」やクレジットカード「ACマスターカード」を提供し、消費者金融分野で業界トップクラスのシェアを誇ります。信用保証事業では、提携金融機関向けの債務保証を行っており、特に三菱UFJ銀行のカードローン「バンクイック」の保証業務を担当しています。海外金融事業では、タイ、マレーシア、フィリピンにおいて無担保ローンや信用購入あっせん事業を展開し、アジア市場での成長を目指しています。債権管理回収事業では、金融機関からの債権買取・管理・回収業務を行い、総合的な金融サービスプロバイダーとしての地位を確立しています。
アコムの平均年収はどのぐらい?
アコムの最新の平均年収は668万円です。これは全国の平均年収624万円と比較すると、約44万円高い水準となっており、金融業界の中でも競争力のある給与体系を実現しています。
年度別の平均年収推移
アコムの過去3年間の年収推移は以下の通りです。
年度 | 平均年収(万円) | 平均年齢(歳) | 平均勤続年数(年) | 従業員数(人) |
---|---|---|---|---|
2022年 | 629 | 40.8 | 15.0 | 2,071 |
2023年 | 645 | 41.1 | 14.8 | 2,093 |
2024年 | 668 | 41.3 | 15.5 | 2,071 |
出典:アコム株式会社 有価証券報告書(2024年3月期)
直近3年間の推移を見ると、平均年収は着実に上昇傾向にあり、2022年の629万円から2024年には668万円まで39万円の増加を記録しています。平均年齢は41歳前後で安定しており、平均勤続年数は15年程度と金融業界としては長めの水準で、従業員の定着率の高さが伺えます。
他企業との比較データ
消費者金融・金融業界内でのアコムの年収水準を比較してみましょう。
企業名 | 平均年収(万円) | 業種 | 備考 |
---|---|---|---|
アコム | 668 | 消費者金融 | 三菱UFJグループ |
アイフル | 580 | 消費者金融 | 独立系大手 |
プロミス(SMBCコンシューマーファイナンス) | 非開示 | 消費者金融 | SMBCグループ |
三菱UFJ銀行 | 773 | 都市銀行 | 親会社グループ |
三井住友銀行 | 825 | 都市銀行 | メガバンク |
アコムは消費者金融業界内では高水準の年収を実現しており、三菱UFJグループという安定した経営基盤を背景に、中堅地方銀行を上回る給与水準を維持しています。親会社である三菱UFJフィナンシャル・グループの銀行業と比較すると低めですが、業界特性や事業規模を考慮すると競争力のある水準といえます。
アコムの役職別年収データ
アコムの役職別年収について、業界水準と企業特性を考慮した推定データをご紹介します。
役職 | 推定年収(万円) | 備考 |
---|---|---|
一般社員(総合職3級) | 400-450 | 新卒入社~入社数年 |
主任クラス | 450-550 | 中堅社員レベル |
サブマネージャー | 550-650 | チームリーダークラス |
課長クラス | 800-900 | 管理職レベル |
アコムでは、大卒総合職の場合、30歳で年収490~590万円程度、課長職レベルで800万~900万円程度に達するとされています。また、業務職(コールセンターオペレーター等)も多数在籍しており、これらの職種は総合職より給与水準が低めに設定されているため、全体の平均年収に影響を与えています。成果主義的な評価制度が導入されており、営業成績や業務評価によって昇進・昇格が決定される仕組みとなっています。
アコムの年齢別年収推移
年齢別の年収推移についても詳しく見てみましょう。
年代 | 推定年収範囲(万円) | 備考 |
---|---|---|
20代 | 400-500 | 新卒入社~入社数年 |
30代前半 | 490-590 | 中堅社員として活躍 |
30代後半 | 550-650 | 主任・チームリーダークラス |
40代 | 600-800 | 管理職候補・管理職 |
50代以上 | 700-900 | 上級管理職・専門職 |
アコムの年代別年収は、新卒で400万円程度からスタートし、30代前半で490~590万円、40代で600~800万円程度まで上昇する傾向があります。金融業界としては標準的な昇給カーブを描いており、長期的なキャリア形成を重視した給与体系となっています。ただし、昇進しない限り大幅な基本給アップは期待できないため、キャリアアップへの積極的な取り組みが重要です。
アコムの福利厚生
アコムの福利厚生制度について、カテゴリ別にご紹介します。
- 住宅関連:家賃補助制度(最大月2万円)、社宅制度、住宅ローン金利優遇
- 交通費:通勤交通費全額支給
- 保険制度:健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険完備、団体生命保険
- 休暇制度:年次有給休暇、慶弔休暇、産前産後休暇、育児休業制度、介護休業制度
- 資格・教育:公的資格取得一時金(2万円)、研修制度、通信教育支援
- その他:退職金制度、従業員持株会、健康診断、メンタルヘルスケア
金融業界の特性上、業務に必要な資格取得支援に力を入れており、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー、貸金業務取扱主任者などの資格を取得すれば一時金が支給されます。また、三菱UFJグループの福利厚生制度も一部利用でき、安定した労働環境が整備されています。
アコムの転職難易度は?
アコムへの転職難易度について、採用状況と求める人材像の観点から分析します。
採用状況:現在の従業員数は約2,100名と大規模な組織であり、定期的な中途採用を実施しています。業界の成長とデジタル化の推進により、IT系職種やコールセンター業務、営業職を中心に採用ニーズが高まっています。
求める人材像:金融サービス業としての専門性と、お客さま第一主義の精神を重視する人材が求められます。特に以下のような経験・スキルを持つ方が評価されやすいと考えられます。
- 金融機関での営業・審査・管理業務経験
- コールセンター・カスタマーサービス経験
- IT・システム開発の知識・経験
- リスク管理・コンプライアンス関連の知識
- 貸金業務取扱主任者、FP等の金融関連資格
転職のポイント:アコムは消費者金融業界のリーディングカンパニーとして、高い専門性とコンプライアンス意識が求められます。「人間尊重の精神」という企業理念への共感や、お客さまの立場に立ったサービス提供への意欲を示すことが重要です。また、三菱UFJグループの一員として、安定性と成長性を両立した企業で働きたいという明確な志望動機も評価されるでしょう。
まとめ
アコムは、平均年収668万円という全国平均を上回る競争力のある給与水準を実現している三菱UFJグループの中核企業です。消費者金融業界のリーディングカンパニーとして、約90年の歴史と確固たる事業基盤を持ち、安定した経営環境の中でキャリアを積むことができます。
転職を検討される際のポイントとして、以下の点が挙げられます。年収面では全国平均を約44万円上回る水準であり、金融業界の中でも競争力のある給与体系となっています。平均勤続年数が15年と長く、従業員の定着率が高いことも特徴的で、長期的なキャリア形成を重視する方には適した環境といえるでしょう。
キャリア形成の観点では、消費者金融という専門分野での深い知識とスキルを身につけることができ、三菱UFJグループという大手金融グループの一員として、幅広い金融サービスに関わる経験を積むことが可能です。デジタル化や海外展開など新たな事業領域への挑戦も積極的に行っており、成長性のある企業で多様な経験を積みたい方には魅力的な環境です。
転職を成功させるためには、金融業界の経験に加えて、コンプライアンス意識やお客さま第一主義への理解を示すことが重要です。また、消費者金融業界への偏見を持たず、社会的意義のある金融サービスを提供する企業として捉える姿勢や、継続的な学習意欲と専門性向上への取り組みをアピールすることで、採用担当者に好印象を与えることができるでしょう。